Written only in Japanese
部屋のドアを開け荷物を押し込みながら、ようやくたどり着いたという安堵感とともに、その日に泊まるホテルが快適かどうかを急いで確認してしまう癖はどうにも治らない。長旅の後なのだからベッドに身を投げ出して固まった背中の筋肉をリラックスさせるとか、とっとと荷ほどきをして自分の城を築くとか、あるいはまだまだ元気いっぱいなら早速バーカウンターを目指すとかいろいろありそうだが、とりあえずはあらゆるドアと引き出しを開け全てをチェックする。
そうやってチェックする筆頭は、ベッドや枕ではなくバスルームであることが多い。水が出ないというのには出会ったことはないが、排水されないことはある。石鹸がなかったのでフロントにお願いして持ってきてもらったが、翌日もまたなかったなど普通のことだ。後でチェックしても良さそうなものだが、ひととおり確認してから荷ほどきを始めるのはもはや習慣となった。
そんな確認をしながら気づいたことがある。最近は、地球環境を意識した変化がすっかり定着したということである。もちろん、ずっと続いてきたことではある。メルキュールは「地球を救おう」キャンペーンと称して、以前からアメニティを使わなかったらその分を寄付するとしているし、タオルなどは交換して欲しい時にバスタブに入れてくれと書いたシールを鏡に貼っている。昨年は、とうとうボディージェルとシャンプーが壁から下がっている仕様になった。確かに使い捨てのアメニティよりは環境に良いだろう。そして、その環境対策がコストダウンにもなっている。企業の都合が誰にも良いことであれば、それは継続可能であるに違いない。あまり鉄道網が使えない北米ほどではないにせよ、車社会のヨーロッパでもバス通勤が増えているそうだから、それだけ意識も高まっているのだろう。
さて、ホテルの到着チェックで一番困ったのは、石鹸や水ではない。なんと、ドアが開かなかったということだ。クローゼットとかではない。部屋のドアである。確かに鍵は開いたが、どうやってもドアは動かない。仕方なくフロントに戻って事情を説明したら、フロントマンは実にあっさりとその動かないドアを開けて見せた。少し上に引っ張るようにするのがコツだそうだ。確かにこれ以上のセキュリティはない。鍵を無理矢理こじ開けても泥棒は入れないのだから。




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ホテルの食事は高い上にたいして美味しくないから、フランスに行ったら朝食はパン屋で買う事が多い。街中なら歩いて5分の範囲にパン屋が必ずある国だから、時差ぼけ解消と健康と美味しいパンのために朝から歩くのは気にならない。大抵は7:30くらいに店は開いている。見つけたパン屋のドアをくぐって最初にするのはこの「ボンジュール」の挨拶である。そうやって挨拶してしまえば、後は焼きたてのパンを見ながら「これひとつ」と言いながら指を立てるだけで買い物はできる。日本語であっても意図は通じるに違いない。もちろん、「un croissant, sil vous plait(アン クロワッサン シルヴプレ)」くらい言えるとよい。たどたどしいフランス語でそう言いながら、たったひとつクロワッサンを買ったら、おまけにシュケットを幾つか一緒に包んでくれたのは、随分と前のことである。もちろん、「ボンジュール」が良かったわけではない。恐らくは、お金のない学生か移民と思われただけだろう。もちろん、メルシーと言いながらクロワッサンを受け取り、「Bonne journée(ボンジョルネ)」と店を出た。後ろからは「à vous aussi(ア ヴ オゥスィ)」の声。「良い1日を」「あなたもね」そんな会話である。