その昔、いや「その昔」なんて言い方をしたら怒り出す人もいそうだから「以前」くらいの表現の方が良いのかもしれないが、少なくとも誰もが四半世紀も続く低迷を憂う前の時代に”Hip to be square”というヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(Huey Lewis and the News)軽快なヒット曲があった。調べてみたら1986年のことである。この手の俗語の理解は、英語圏に住むどころか普段の会話にも苦労する自分には決して容易ではないのだが、きっと訳すなら「クソ真面目なのがイケてんだ」と言った感じなのだろうと想像している。
さて、もう今更敢えて書く必要もないが、ラジオで流れる懐メロ特集あたりで”Hip to be square”を聞いて、学生時代の知人のように「四角いケツになっておけ」などと訳さないように。きっと失笑さえしてもらえない。とはいえ、さして意味は違わないが。
蛇足。 日本ではHuey Lewis and the Newsをヒューイ・ルイス&ザ・ニュースと表記するらしい。おそらく契約会社の意向なのだろう。ずっとニューズと濁ると思っていたので、なんだか違う人みたいである。もし、ヒューイ・ルイスをよく知らないということなら、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーで流れるパワー・オブ・ラブの人なので、すぐに思い浮かぶだろう。キャッチーなメロディと平易な歌詞で、80年代の明るいアメリカを代表するようなイメージなのだが、実際のところはよく分からない。
面白いのは、誰でも知っている映画ゴーストバスターズの主題歌が、このヒューイ・ルイスのI want a new drugのパクリだったというややこしい話で、同時期の2つのヒット映画のヒット曲が実はヒューイ・ルイスに関係していたことになる。今となっては、レイ・パーカーJrが付け足したキャッチーなメロディが頭から抜けず、盗作なんてことはすっかり忘れてしまうが、和解しているとはいえ、あまり気持ちの良いものではない。もちろん、フランスのDACIA(現在はルノーの子会社)のDusterという車のTVコマーシャルでゴーストバスターズの曲を使っているのを聞くと少し心が踊るくらいで、レイ・パーカーJrもかなりなものである。もし、彼がもうちょっと真面目にやってたら、きっとDACIAがCMに使うような曲にはなっていなかったに違いない。