Cross Cultural

Les pianos en gare (駅でピアノ)

201406-027OKThe text was written only in Japanese.

ピアノのきらびやかでゆったりと重なり合う和音の階段とうねるような弦の波が響きわたるその小さな空間で、少し離れた先に所在なく視線を向けて、クリーニングの受け取りを待っていた。あたたかで少しノスタルジックなオレンジ色の明かりに照らされたカウンターには、Facebookのアドレス。チャイコフスキーが鳴り響く小さな空間は、だがしかし、普通の小さなクリーニング店である。お洒落な調度品があるわけでもない。小綺麗ではあるが、壁はところどころ色褪せている。その不思議な違和感の中でクリーニングされた服の受け取りを待っていた。

大抵のクリーニング店は、白く清潔感あふれる内装にこれまた白い輝く光が溢れている。まるでUFOでも舞い降りそうな様相で顧客を待ちうけている。清潔に見せているのだろう。それもビジネスの一部。まぁそうだろうと当然のように受け入れている。でも、そうでなければならないという理由もない。チャイコフスキーが流れる街角の小さなクリーニング店があっても良い。

201406-026OK駅にピアノがぽつんと置いてあるということがあったって良い。ピアノが好きな人がふと弾いてみたくなるような、そんなピアノが、見知らぬ人々が行き交う駅にぽつんと置かれていたら、その場所は当たり前の場所にその瞬間だけにあらわれる特別な意味を付け加えられた非日常になるだろう。長距離列車が着く度に溢れる人びと、これから旅立つ列車を待つ人びと、長旅に疲れた顔と電光掲示板を見上げる楽しそうな顔が他人事のようにすれ違い、時に再開を喜び別れを惜しむ。通奏低音のように話し声が床に染み込み、機械的なアナウンスがシャワーのように響く。時間を持て余し、iPadでWebページを開き、しまいこむ。電話に悪態をつき、花束を抱え、スピーカーを見上げる。そうやってそれぞれの空間に身を委ねながら、突然のピアノの音に気づく。ゆったりとしたショパンの前奏曲。そして、多くの人が不意にその瞬間を共有する。

フランスの国鉄にあたるSNCFでは、そんな駅のピアノを現実にやってみた。昨年末のことらしい。一般のニュースではあまり話題にならなかったが、フランス在住の方のブログやライフスタイル系のニュース記事では少し話題となっていた。モンパルナスの駅に置かれた非日常のピアノは、やがて主要なほかの駅に置かれて行く。

201406-030OKLes pianos en gare(駅でピアノ)、そのものずばりのタイトルは、むしろ想像を広げ、多くの人の支持を得てきた。駅だからか、下手なピアノもあまりうるさくない。腕に覚えがなくとも、少しだけなら弾けるという程度の人が、さっと座って鍵盤を確かめ、去って行くらしい。JRも駅でコンサートをやったりしているが、それとはまた違った場がそこに現れるのだ。羨ましいかぎりである。

6/21は Fête de la musique (音楽の日、昨年の記事)。フランス発祥のこの日は、今や世界中に広がり、日本でもいくつかのイベントが予定されているらしい。なかなかフランスのような街中が音楽にあふれるという状況でもないが、どこかで不意に音楽に出会うかも知れない。そう考えるだけで少しだけ楽しそうな気配がしてくる。

さて、冒頭のクリーニング店だが、先日そばを歩いていて、足元に木製の小さな看板が置いてあることに気がついた。ピアノ教室。きっとお店のご家族か親しい知り合いにピアノの先生がいるのだろう。チャイコフスキーが流れるクリーニング店などそうあるものでもない。

Cross Cultural

教会の鐘とiPhone

201406-006streetThe text was written only in Japanese.

教会の鐘が朝を告げた。裏庭では赤い薔薇が自分自身を支えきれずに頭をその横のベンチにもたれかけ、小さな表通りでは、ショートコートの襟を立て小さなパンの袋を抱えたサラリーマンが道を急いでいる。またポツポツと雨が降り始めていた。6月の北フランスはまだ初夏からは遠い。

サマータイムは、夜10時を過ぎても明るい。仕事を終えた後もつい外出したくなるそんな夕べとなる。もう、ひどく寒いという季節ではないが、半袖一枚で過ごせるものでもない。だから今日は何を着ようかと少し悩む。日中の強い日差しを考えて半袖で外出しようかと思っても、朝夕の冷たい風を思い、結局はその上に一枚羽織ることに決める。ショートコートか雨に当たっても染み込みにくいジャンパーが簡単だろう。一日の中にあらゆる天気があるのだから。朝、窓の向こうには色の消え失せた雲が覆い尽くすように広がり、アメリカ製の天気予報アプリは一日 overcast と告げているが、恐らく間もなく晴れてくる。白く柔らかな雲がぽつりぽつりと浮かび、そよ風が首の周りを抜けて行く爽やかな午前が始まるのだ。その頃には、件の天気予報アプリも初心を忘れてclearとかpartly cloudyとか表示するに違いない。やがて夕方には再び雨となって、気温はあっという間に下がっていく。であれば天気予報など要らないではないか。

 

201406-007street

横浜、さして重要とも思えない仕事から遅く帰宅する夜。先月末のヨーロッパのニュースサイトは、すっかり欧州議会選挙とウクライナ情勢一色という状況だった。そうでなければサッカーの結果。日本からの距離を感じなくもないが、すぐそこにあるいつもの日常でもある。直ちに影響が現れるものでもないだろうが、選挙結果を見ていると右傾化は世界的な状況のようでもあって、時代の変化にどことなく不安を感じなくもない。そう考えながらも、それは同時に他人事でもある。買い物をしながらふと一度雨に洗われた路面に目を遣る。雨はすっかり乾いていても、汚れの落ちた路面は時折輝きを見せた。

横浜では誰もが首を垂れて、後生大事に小さな呪文の書かれた光る箱を抱え、何事かつぶやくようにそれを覗き込む。電車の妙に丁寧な英語のアナウンス。帰りを急ぐシワだらけのワイシャツ。咲き始めた紫陽花の青にあたるLEDの他人事のような光。夏はすぐそこにあると告げる湿気は、シャツの中にじわじわと入り込んでくる。遅い電車だというのに、人は一向に減らない。暗くなってからの時間は、疲れて不満顔の人々に置き換えられて消えていく。あたかも最初から無かったように。

201406-008street電車の中を人混みの頭越しに振り返り、ふと、アーチ状の梁が連なる回廊を思い出した。休日、誰もいない街の朝だった。iPhoneを取り出し、写真を探す。自分もまた、現代の聖書を抱えたひとりとなった。

 

3枚の写真はiPhoneで撮影

Photo, photo challenge

Weekly Photo Challenge: On the Move

201405-007It is said that a steam locomotive changed the way of industrials and our lives. Maybe it’s true. We can move quickly and sometimes we think the old transportation system was so slow that we couldn’t have a better life. Indeed, now we have a faster train. 

201405-020But also it is true that we sometimes think our lives would be better if we move slow. Probably still we are on the move toward new civilization.

201405-022Even when we miss our way,I believe, we have to keep on going.

201405-021BTW, I don’t recommend you go the sea around Mont Saint-Michel without any professional guide. Sea water moves very fast.

This is a part of Weekly Photo Challenge by Daily Post.