確かに家を出た時には理解していたはずの行き先は、時が過ぎるとともに曖昧になって行く。やがてどこに向かっているのかも考えなくなってしまった人々は、うつむきながらゆらゆらと前に進み、コートの襟は肩にかけられたバッグの重みに歪む。朧げな両目の先に白く光を放つ小さな聖書を抱え、誰もがその曖昧な行き先に引き寄せられる。発車ベルとモーター音と靴音とコンクリートに反射する声とコンプレッサーの共鳴音とが混じり合った静寂。朝の駅から吐き出された無口な人々は、雑踏の静寂に身をゆだね、否応なしにその1日を始めるのだ。 Continue reading “ART: 佐藤雅晴―東京尾行”
Tag: art
Weekly Photo Challenge: Vivid
At the backyard of a grocery store close to my house in Yokohama, I saw sometimes many small colorful container boxes upheaped. These boxes have each colors because they conveyed different food from different place by different company. The picture was taken in Canada. It would appear that someone stacked boxes like contemporary art.
In some cases, a shop window could tell us the season as the nature does.
In response to the weekly photo challenge, WPC: Vivid by The Daily Post.
Wordless Wednesday: Pola Museum of Art II
Wordless Wednesday: Pola Museum of Art
紙片の宇宙
しばらく前に降った雪が、雪掻きの努力の褒美でもあるようにそこかしこに残り、冬枯れの木々の間に強くなった陽光が降り注ぐ森の中にその建物はある。コンクリートとガラスが光を反射し、自然とは相反するかのような造形は、思いのほか森と一体化して違和感を感じさせない。入り口近くの空間には、巨大な歯車の一部のような錆びた何かが時を止め、いずれ春の緑に覆われることを拒絶するかのようにじっとしているが、やがてその試みも無為に終わるのだろう。
だからなのか、その建物に入るにはちょっとした儀式がいる。明るい木々の間にかけられた橋が、道と建物を隔てているのだ。それは、本を読むことに似て、読者と本の世界を隔てる表紙を丁寧にめくるように、人は橋を渡らねばならない。そうやって、森に囲まれたその建物の中で、違う世界を感じることになる。
箱根の少しばかり分かりにくい曲がりくねった道を通った先にポーラ美術館はある。1900年頃の西洋絵画を中心としたコレクションは、国内屈指の充実したものとなっている。そのポーラ美術館で、3/29まで「紙片の宇宙」という企画展が行われている。藤田嗣治やシャガール、ローランサンなど、ポーラ美術館のコレクションや美術館が得意な画家が好きならもちろん、挿絵本好きにもお勧めできるいつもと少し違う展示である。なかなか見ることのない豪華本も展示され、普通の印刷でよいから買えないかななどと見ながらつい考えた。
あいにくとあと3週しか会期はないが、ちょうど春休み、箱根に本の扉をめくりに行くのも悪くない。
今週のWordless Wednesdayはポーラ美術館の写真を予定。



