Bonne journée, Cross Cultural

夏至(2)

201507-210written only in Japanese

フランスのあてにならない天気をいつか忘れてしまったような強烈な陽射しの痛みがむしろ心地よい夕方、夏至を過ぎるとバーゲンの季節というのを誰もが当たり前と了解している街のショーウィンドウは、どこもかしこもセールの華やかなポスターにあふれていた。バーゲン初日に前々から狙っていたお目当てのものを安く手に入れ、膨らんだ大きめのバッグを抱えた人々で街はいっぱいだ。18世紀から19世紀の大切に使われる続けてきた石造りの建造物も、この時ばかりは刻み込まれた歴史を忘れ、今やセールを告げるビルボードである。

木々は春の柔らかなグリーンから夏の力強い深緑へと姿を変え、吹き抜ける風と陽光に微かに震えながら飛び回る鳥たちに休息の場を提供する。そんな自然の喜びを知ってか知らずか、若い一団がそれぞれ楽器を抱えてバーゲン真っ只中の街を歩いて行く。旧市街のレストランはきっと今夜は大騒ぎに違いない。学生もそろそろ授業が終わり。仲間同士で楽しむ日々ももう少ししかない。今、羽目を外して楽しまなかったら、いったいいつ楽しもうというのかと言わんばかりの様相だ。いつも最後の木曜は大騒ぎ。独立心の高い彼らも、金曜はママの元に帰るのだ。

ふと路上に止められた乗り合いタクシーのミニバンを見ると「我々はUBERではない」と手書きのアジテーション。UBERに反対する暴動もニュースになったが、果たして反対しているのか、暴動に巻き込まれないようにしているのか、はたまた似たようなサービスをするライバルが邪魔なだけなのか、その背景は甚だ危うい。その横を爆音をたてて大きなバイクが通り過ぎる。あっちに行けと言わんばかりに人だかりができ、少し傾きはじめた陽光の反射を覆い隠す。反対するのもいろいろ。夏が騒がしいのもいろいろ。

夜にはまだ早い午後7:30の繁華街。

(この文章は、夏至の数日後に書かれた)

Bonne journée, Cross Cultural

夏至

201507-115

written only in Japanese

喧騒を忘れる静かなブルーグレーの朝、屋根裏の跳ね上げ扉を開けて遠く煉瓦の尖塔を眺める。燕が二羽、クリーム色のペンキがかすれて所々茶色になった窓枠をかすめるように飛び去った。教会の鐘がゆっくりと響きわたり、朝は前日の夜の喧騒など全て忘れ去ったように始まった。記憶は日々の忙しさの合間に辛うじて残される。

201507-114午後9時を過ぎてようやく夕暮れらしい影が石畳に現れる頃、華やかな1日をしめくくるにふさわしい夕食の並ぶテーブルを囲んで気の合う仲間と特にどうということのない会話を交わし、誰もがそれが始まるのをそわそわと待っていた。それぞれの皿の上には、かすかにフルーツの香りがするソースが恭しくかけられた子牛の肉とチーズをたっぷりと混ぜ合わせたジャガイモが乗せられ、ワインのボトルは次のグラスに注がれる準備でもするかのように人と人の間で右往左往した。足元には、お人好しの客からお零れを狙う鳩。ジリジリと腕を焦がす太陽は日中の勢いを忘れ、少し冷たい風がお喋りな人々とテーブルの間を抜けた。道を挟んで反対側の公園横で誰かがギターを抱える。すっかりリラックスした黒のポロシャツに少しだけ色の落ちたジーンズ、スキンヘッドの丸顔。ペグに手をやり首を振ると、やおらブルージーなメロディーをひとフレーズ奏で、キーボードが後を追ってリズムを刻んだ。そうやって昨夜の喧騒は幕をあけたのだった。

音楽の日(Fete de la musique)。夏至の夜は誰もが大楽好きになったかのようにいたるところに音楽があふれ、いつまでも夜は続く。メトロは乗り放題のチケを当たり前のように発行し、車は裏道に溢れる人々を避けるように走り抜ける。むろん、一部の人には迷惑なのだろうが、音楽の日とはそんなものなのだ。いつまでも明るい夏至を楽しみ、音楽を楽しむ。

(この文章は、夏至の翌日に書かれた)

Bonne journée, Photo, photo panoramique

Going to be rainy

When it rains, look for rainbows

The month of May was exceptionally hot this year in Yokohama. Time to time it took 30 degrees Celsius like summer days. For a human being is sort of selfish, that’s why human, I found myself waiting for coming rainy season as I wrote last week. Yes. Surely it’s going to be “tsu-yu”, the rainy season in early summer in Japan. Probably I would say I hardly wait until being a sunny Sunday, though.

5月の横浜は異例なほどに暑く、夏のように30度になる日さえあった。人間とは現金なもので、先週も書いたように雨の季節を待っている。確かにもうすぐ梅雨。たぶん、天気の良い日曜日が待ち遠しいと言うのだろうけれど。