Bonne journée, Photo

切通し


 汗っかきの右足を滑り込ませたスニーカーの少しばかり擦り切れた緑色のキャンバス地と、短夜の霖雨に押されて声のしない雨粒の間を転げ落ちたクスノキの葉を踏みしめるゴム底との隙間に、梅雨時の湿気が染み込むのを気にしながら、また次の一歩を上へと押し出す切り通し。雨上がりでもなお雫を落とし続ける紫陽花の青は、僅かな雲の隙間に開いた青よりもずっと赤く、ガラスのような光を控えめに放つ。続く雨が時々落ちてくる見えもしない天の裂け目を見上げて嘆くより、肩ほどの高さに俯く紫陽花の真ん中に砕かれた金平糖が水色とピンクの粒に散らばる様を見ていた方が、きっと陽の光に届きそうだと足を止めて考える。谷戸の森に穿たれた向こう側の街に続く坂道を昨日の雨が流れ落ち続けている。初夏の落葉もアスファルトに積み重なって水を含み柔らかく、幾つも連なる坂道に疲れた足裏には幾分優しい。両方の足を交互にゆっくり押し出しながら、左手のタオルで額の汗を拭い、右肩の藍染めのサコッシュを右手で掛け直した。車の通ることもない切り通しは、やがて木々の空気にひんやりと静まり返っていた。

 鎌倉と言えば八幡様や大仏様、アジサイの季節なら北鎌倉の明月院といった知られた社寺が思い出されるが、そうした言わばメインストリートだけでなく、狭い谷戸に散在するお寺さんを探しながら歩くのも楽しい。たいていは谷戸を作り出した小川沿いに車がすれ違うのも難しいほどの狭い道が続き、その両脇に住宅が建つ。だから片側は、用水路となった小川を越えるように橋がかけられている。少し広くなった開けた所では住居は面に広がるが、広いと言っても見渡せる距離である。
 鎌倉駅から江ノ電で行く海側は比較的知られていていつでも混雑しているが、山側はあまり有名な場所が多くないからか海側ほどは人も多くない。谷戸を分ける尾根はさして大きくないとはいえ、何層にも重なる山で、鎌倉が天然の要害であったことは想像できる。小さな山でもそれを越える必要があっただけでなく、見通しが効かない。そんな谷戸と谷戸の間をつないで尾根を通り抜ける切り通しは、ちょっと楽しい。知らない隣の街にでも行くような気分だ。
 そんな切り通しを通り抜けて北鎌倉駅側から鎌倉駅側に向かって横須賀線の線路を越えたら、人力車がちょうど観光客を案内してきたところだった。その向こうをサーフボードを抱えたバイクが行く。マリンスポーツをするにも古都巡りをするにも、何もかもが小さな空間に押し込められた混然とした街が、都会の裏通りとは違った落ち着きを見せて、ちょっと落ち着く。
 今日は海を見てから帰ろうかなと鎌倉女学院の横をぬけ由比ヶ浜まで歩いたら、案外1万歩になった。
 歩いた頃はまだ材木座の海の家も建設中。きっと今頃は完成して海開きを待っているのだろう。

材木座海岸
Art, Photo, photo challenge

Weekly Photo Challenge: Frame

201608-401日本語は後半に
Once in a while I should have discussed photography on the blog because I have posted pictures every time. Frame, what a great subject to talk about it.
Honestly saying I don’t like to use a frame for my photos. It narrows down the canvas, limits a camera position and add one element of the picture in advance. In addition, we enjoy pictures on a screen of computer rather than prints. In other words, we see many layered frames like a screen, an application window, a picture window and a picture itself. Perhaps you remember that iPhone was like a panda when its screen factor was changed (iPhone4 to 5). When you ran some application for older iPhone, you might see a white application color inside a black frame inside a white iPhone.
However sometimes I found me taking a picture with a frame. One of my favorites I took was a image of Nuremburg through a old window glass at night. I missed it but still remember.
A typical framing style I like is found in Ukiyoe pictures. If you love photography, you know, “frame” doesn’t mean the rim of a picture. It must be a typical one but even a small branch as a foreground object can be a frame. Indeed Ukiyoe artists loved to use such expressions and Van Gogh would be one of successors.
Today I chose three different pictures which have no typical frame.

201608-403

写真を毎回アップしているのだから、たまには写真に関することでも書くべきだろう。「フレーム」良い題材である。
正直、写真でいうところのフレームが好きなわけではない。少ない切り取られた領域をさらに狭めて制限するものであるし、コンピュータスクリーンで見るのが当たり前の今、写真はすでにいくつものフレームが重なっている。
それでも時々、フレームのある写真を撮っていることに気づく。今でもお気に入りの一枚はニュルンベルクの古い窓枠から夜の様子を撮ったものである。
典型的なフレームのスタイルは浮世絵に見られる。それは単なる枠ではなく、例えば木の枝に切り取られた風景であったりする。そんなわけで、今日は、典型的とは言えないフレームを選んでみた。

In response to the weekly photo challenge, Frame by The Daily Post.

201608-402