
Duolingoという言語教育アプリケーションがヒットしている。2024年国内で最もダウンロードされた教育アプリだそうだ。
御多分に洩れず、自分ももう6年半も続けているのだが、このアプリが効果的なものかどうかは正直よくわからない。言語学習には王道なんてないと実感しているし、やり方がその人に合っているか否かというのは、言語が身についたかどうかではなく、続けられるかどうかだとも感じているの。だからその点ではDuolingoはその点では合っていたのだろう。
正直に言えば、このDuolingoで言語が身についたという感覚はあまりない。向いている人も多いのだろうが、自分には他の言語に触れ続けるためのツールでしかなかった。日常会話にも、試験対策にも、学んだことが使えたなという実感はほとんどない。ただ、あまり学習として効果的ではなかったとしても、続けられるという点では少なくとも自分に向いていたということは言えそうだ。続けることは、案外重要である。もちろん言語にも依存すると思われるので書いておくが、少なくとも学んでいたのは英語ではない。言語によっても向き不向きがあるかもしれない。
さて、本題はここからである。しかも言語ではなく算数の話だ。
最近になって、このDuolingoには算数や音楽なども追加されたのだが、面白がって算数(英語版)をやってみたら、なかなかこれが考えさせされるものだった。最近は日本でも当たり前になったが、単純に計算するのではなく、
3 + [ ] = 7
のような問題があったり、文章題がインタラクティブな会話になっていたりと、さまざまな形式で算数の基礎を学ぶようになっている。しかも、
2 + 2 + 2 = [ ]
は、「2 × 3」ではなく、「3 × 2 」のようになっている。多くの言語では、これは、3個の2であって、2が3個ではない。必然的に英語版では英語で考えている。
そんなふうに面白がって見ていたら、いただけない問題が出てきた。10度より2度低い温度は何度?(もちろん8度)という問題に続いて、
4度の2倍の温度は何度?
とあったのだ。数字を2倍にすることは出来ても、温度は簡単には2倍出来ない。
2個のケーキの2倍は4個だし、50センチのリボンの2倍は1メートルだが、気温4度の2倍は8度ではないのである。必ずしも説明が適切とは言えないが、熱力学温度で考えるとして、4度の2倍は、華氏の問題なら約468度、摂氏の問題なら約281度とならなければならない。もちろんケルビンなら8度で良い。
「おいおい、これはあくまでも算数の勉強のための問題であるから、よくわからない熱力学温度など持ち出すな」とお叱りを受けそうだが、そうはいかない。算数の根源に関わる問題だからだ。2倍の意味は数字に2をかけることではない。そもそも小中学校でそう習ったはずなのだが、多くの場合は聞き流すか、先生がちゃんと説明していない。ほとんどの場合、計算方法しか教えていないという事もある。
Duolingoの算数には、もうひとつ問題がある。縦書きの筆算で未定義の引き算を行なっている。3段になった筆算の2番目の符号が省略されているのだ。こうした問題をやるなら、必ずその定義を記載しなければならない。学んだことを実践した時に不都合が出る。
文化の違いは興味深いが、算数は文化ではない。算数は(数学は)、その他の教科と違って、物の定義を厳格に適用する必要があるのである。
かつて、有名なマーケティングの先生の講義を受ける機会があって、興味深くその話を聞いていたら、途中から話に矛盾を感じようになったことがある。興味があって是非とも正しく知りたいと思い質問してみたら、なんとその先生はデータの単位や正規化の意味を知らなかったのだった。そりゃ話が矛盾するわけだ。3メートルのロープと1キログラムのロープのどちらが丈夫か?と聞いているようなものだった。そのマーケット分析手法の考え方は極めて面白いものだったが、結局は最後は直感だと言っているのに等しいのだから一気に興味がなくなった。とても話の面白い熱心な先生だったが、あの先生に学んだ学生はかわいそうと思うほどだった。算数は正しく使わなければならないのだ。
あー、こんな事書いたらまた叱られる!




