Bonne journée, Cross Cultural, Photo

Vacances

201708-112

先日、フランス在住の知人から仕事に復帰したとの連絡があった。ご迷惑をおかけしましたと、事務的ながら丁寧な文面である。もちろん仕事に復帰したのは3週間のバカンスからであって、休職していたとかそんな理由ではない。あたりまえの夏休みを家族で過ごしただけなのだが、日本に気を遣っての連絡なのだろう。普段と違ったよそよそしい文章を眺めながら、気にしなくてもいいのにとひとり呟いた。
この知人のフランスでのご実家はフランス国内だったと記憶しているが、仕事関係者と話していると案外スペインやらスイスやらと実家が国外という人も多い。だから夏休みにその田舎に帰るのかと思っていると、意外にもイタリアだとかイギリスだとかと全く無関係な場所が多い。あいつは北イタリアにひと月もいたからすっかりイタリアかぶれで困ったなどと言う。聞けば、近いのにずっと行った事がなくて、今回はすっかり満喫したそうである。
どうしてこうもバカンスに命がけで向き合うのか、多少疑問がわかないでもないが、ここは素直に羨ましいと言うべきだろう。その程度の余裕がないと、この暑い夏は乗り切れない。

201708-111

Bonne journée, Photo

Diaphragm

201707-411

written only in Japanese

海辺の街と言うには少しばかり寂しい住宅地の一角にあるアパートにひとり住んでいた頃は、どんなに淡い青が空と海を分けていても、どんなに曖昧な一筋の金色が昨日と今日を分けていても、それにレンズを向けてファインダーを覗くことなど考えもしなかった。朝の静まりかえった冷気を肺の奥まで吸い込みながら歩く砂浜の海藻も、早めに帰った夕暮れにぼんやり眺める遠い漁火も、それは自動販売機で買って飲む缶コーヒーとなにも変わらない日常だった。首にかけた古臭い傷だらけの一眼レフカメラの中で光を蓄える貴重なフィルムは、むしろ足元のアスファルトの隙間から勢いよく芽を出したネコジャラシの影を撮るためにあった。
それから長い時間が過ぎて、いつか海に向かって少しだけ絞りを開く事が多くなった。どこまでも向こう側に続く仔細な何かがほんの僅かぼんやりと写るように。

201707-412