Bonne journée, Photo

ネコトコトリ


夏の市街地の地図よりも深く
黒猫の足音ほどに赤みがかった踵の釘
トコ ト
トコ トコ ネコ
トコ トリ トコ ネコ トコト
コリ ネコ トコ トリ
重苦しい南風に連れ去られまいと
青い小石にしがみつく栃の実色の飾り羽
ンツ ンツ
ナツ デニム ウミ
ウミ ナツデ ニムニム
クロ ニム ナツ デニムニ ムクロ
冬の幹の隙間よりも空虚に
小鳥の囀りほどに青みがかった朽ちた種
コト コ
トコ ネコ ト
コトリ トネコ トコト
リネコ トコト
凍らない雨に流されまいと
キンとした針金に絡め取られる土色の骨
チク チタ
ハニ コオル ツチ
クチ タハ チクチ
コドウ コオル クチタ ダイチ
茫々と沈む冬の海図より重く
猫の瞳に写る小鳥ほどに黙した息

正直に言えば思ったほどの音が響かない。だからここに公開するにはかなり手直しが必要かとも思ったが、習作としての成果は十分にあったと感じないでもない。厳しいコメントも歓迎である。ただ、出来がどうであれ、ひとつだけ必ず記しておかなければならないことがある。このタイトルは、paprica.doodle さんのハッシュタグが起点となっている。元の意図とはまるで違ってはいるだろうが、ご容赦願いたい。

Photo, photo challenge

A Photo a Week Challenge : Something New

Everything was vague but it was always new. New day was covered by a vail of uncertain tomorrow but was our future. Nothing was different but still new.
(taken with a hand-made filter)

何も変わらずとも、何かが曖昧で不確かであろうと、新しい明日はある。
(手作りフィルタにて撮影)

A contribution to A Photo a Week Challenge: Something New by Nancy Merrill Photography.

Bonne journée, Cross Cultural

アパルトマン

 19世紀の終わりに中世の木造の家並みに替わって近代的で堅牢な石造りの建造物として建てられたアパルトマンの青く塗られた木製の扉を押し開け、散らばったマロニエの実を押し分けるように、銀色に輝く真新しいトロティネットを抱えたマドモアゼルが出かけて行く。クラクションの甲高い音の後には落ち着いた喧騒と冷たい風が残った。
 そのアパルトマン近くには2軒のブーランジェリーが軒を連ね、週末にはバゲットを求める客が列を作る。そのひとつ、コワン・ド・ラ・ルーには向かいのマルシェで威勢の良い声を上げてフロマージュを売るマダムが、時々クロワッサンとカフェを求めてやってくる。
 その様子をカフェの冷たいテーブルの向こうから眺めながら、帰りみちにシェ・ポルのコヒー豆でも買って帰ろうかと独言た。
 青いままのマロニエの実がまたひとつ石畳みに転がった。

日本語訳

 明治時代に建て替えられたため今では多少歪んでしまった梁に鉄骨の補強材を埋め込んだくたびれたアパートには、落書きを消すために青く塗りつぶした木製の扉があって、そのカビ臭い中からキックスケーターを抱えた大人びた少女が出かけて行った。歩道には栃の実が踏み潰され茶色のシミを作り、車の騒音以上に街の喋り声が響いている。
 そのアパートの並びにはパン屋が2軒もあって、ほとんどの店が閉まっている日曜日でもパンを買わずにはいられない連中が、わざわざ長い列を作る。そのひとつの「角屋」には、向かいにある市場で声を張り上げるチーズ屋の売り子さんが、時々軽食を買いにくる。
 その様子を喫茶店の外テーブルから眺め、帰りみちに「田中屋」でお茶でも買って帰ろうかと独言た。
 青いままの栃の実がまたひとつ石畳みに転がった。

解説

 一般には、ヨーロッパの多くの旧市街は、少なくとも中世頃までには成立した街を基礎としているが、フランスの石造りの街並みは、案外19世紀移行に整備されたものが多い。当時としては先端建築であったのだろう。100年が経過しても美しさを保っている。ただ、石造りだからしっかりしているというのは、少し誤解がある。床は傾き、場合によっては鉄骨で補強され、外見だけなんとか元の様子を保っているだけという事も多い。そして何より、どこにでも落書きがある。
 ストリートアートと言えば聞こえは良いが、実際のところほとんどが単なる落書きである。先日ようやく補修が完了した近所の古い建造物も、オリジナルであろう白に塗ったものだから、新しいキャンバスをありがとうとばかりに翌日には意味不明な文字だらけである。
 ところで、以前にも書いたが、フランスのブーランジェリーは、日本にあるパン屋さんよりももう少し地元に密着した、昔ながらの個人商店の魚屋さんやお米屋さんのようなところがある。親しい客はツケで買うこともあるようだし、ちょっとした会話を楽しむ場所でもある。だから人によってはチェーン店のパン屋を嫌うこともある。
 店の名前も案外古臭い。田中屋と訳したのはそのまま直訳であれば、「ポールん家」のようなもので、日本だったら田中屋かなと訳してみた。

一度はボツにしたネタをほんの少しだけ書き換えてポストすることにした。ボツにしたのには理由があるなと再確認したほど今ひとつの内容だが、ご了承願いたい。ネタがないというより時間がないのである。