Cross Cultural, Photo

Floral Friday #224


 色々と面倒なことが続いた一週間が終わると、一息つくよりも次のことを考えるのは現代人の悪い癖か。貯湯槽の補修代の請求書が届いていないなとか、病院の予約は何時だったかなとか、そろそろ契約処理の連絡が来ても良い頃だなとか、休みの日にはちょっと贅沢なものでも食べに行きたいなとか、延々と考えている。そういえば葛の蔓が伸びてきてたから切らなきゃなんて思い出すと、慌ててTODOリストに書き加えるのだが、それで安心すると美容院の予約の時間が気になり出す。たまにはのんびり何も考えない時間を作った方が良い。何もしない時間は頑張れば作れるのだが、何も考えない時間というのは難しいのだ。

 まだまだ晴れの日があるとはいえ、もう5月の半ばから梅雨入りしたみたいな横浜。そんな曇りや雨の日の隙間時間に無機質なコンクリートが並ぶ場所を通れば、不意に路傍に咲く花を見つけたりする。その写真を撮りながら、錆びたガードレールの模様が面白くなって写真を撮り直す。そしてふと思うのだ。

 「考えすぎだって。」

 そんな週末が過ぎていく。

Bonne journée

Study (習作)


止むことのない季節外れのウグイスの甲高い声。
止んだばかりの薄緑色の雨の埃っぽい匂い。
蒸し蒸しとした粘っこい空気が通り抜ける階段に足をかけ、
積み重なる記憶で重くなった荷物をようやく引き摺り上げる玄関口。
こめかみの奥に染み込んでくるニオイバンマツリの甘い息。
雨粒が転げ落ちる紫陽花の隅についた茶色の傷。
耳の後ろを流れる汗が染み込んだコットンシャツの襟元を広げ、
深呼吸する空気が思いも掛けず冷たいことに気づく朝。

執筆中の作品のための習作を久しぶりに公開しています。下の英語訳は詩の体裁になっていませんが、英語読者のために参考に追加しました。翻訳できない単語は、代替となる別な単語に置き換えています。このため、日本語のニュアンスに込めた意図が、若干大袈裟になって現れてしまっていますが、それもまた面白いと思ってご理解いただければ幸いです。

( translation )
The never-ending song of an out-of-season warbler’s shrill singing.
The earthy smell of pale green rain that has just stopped.
Stepping onto the stairs through which the muggy, sticky air passes,
and finally dragging my luggage, heavy with accumulated memories, to the front door.
The sweet breath of the jusmin seeps into the depths of my temples.
Brown scratches on the corners of hydrangeas where raindrops have rolled.
A morning when I open the collar of my cotton shirt, soaked with sweat running behind my ears,
and realize that the air I take a deep breath of is unexpectedly cold.

Cross Cultural, Photo

Floral Friday #223


 いつの間にか梅雨の気配がしてきた5月の晴れ間。咲き出した控えめなハスのクリーム色の花弁を見ながらひと息ついた。ようやくホッとできる見慣れた街に戻ってきたというのに、豪勢なピンク色の背の高いハスが咲き乱れる異国の池を思い出していた。人間は不思議なものだなと、使い古された感想に苦笑いする。
 5月の関東といえば、大抵の年はそこそこ好天の日が多い梅雨前のホッとできる時期だが、今年は曇天が多いからか、なかなか出歩くのが億劫だ。やっと咲いた春バラは連日の強風や雨で痛み、強い光を感じることも少ない日中の外出は、どこかで義務的な気分を感じてしまう。要は、5月らしい楽しみがなかなかない。そうこうしているうちにもう6月。もう、長袖シャツは使わないかな。