Art, Bonne journée

L’artiste ne doit pas copier la nature

L’artiste ne doit pas copier la nature mais prendre les éléments de la nature et créer un nouvel élément.
アーティストは自然を映しとるのではなく、自然の要素を取り込んで、新しい要素を作成するのです。

Paul Gauguin
ポール・ゴーガン

 ありきたりな言葉にも聞こえるが、これをゴーガンが言うと説得力のある強い言葉にも聞こえるのが面白い。実際のところ、タヒチやブルターニュの自然を大胆に描いた作家のようで、意外に生物を描きこんでいないのが、ゴーガンでもある。
 ゴーガンの絵は、明確に印象派を否定しているかのようである。それは西洋絵画に詳しくなくても一目見ればわかる。大胆で強い筆の運び、色彩を否定するかのような深く沈んだ色、その風景の印象よりも内省的な風景を重視するかのような題材。印象派の最後に属しながらポスト印象派に向かって行った時代のようなものがあったのだろうか。今ではその絵の価値を評価されながらも画家という人間としては否定的な見方も多いゴーガンであり、単純に褒め称えて良いものか躊躇はするが、自然から新たな要素を見出して表現してきたのだろうことは否定できない。
 ブルターニュに移ったばかりに描いた素朴な絵を見て、その後にタヒチからブルターニュに戻った後に描いたタヒチの絵を見れば、その間のタヒチの少女たちとの関係を考えざるを得なくなる。もはやそれを差し置いて評価はできない。それでも上の言葉が表面的なものではないのだろうと考えられるのは、やはり絵の力なのである。

 Paul Gauguinの日本語表記は、近年ポール・ゴーギャンからポール・ゴーガンに変わってきたように思います。今回は、少し本来の発音に近いゴーガンとしました。また、冒頭の写真はタヒチの海岸やブルターニュの田舎ではなく、先島諸島のものです。ブルターニュの写真もありましたが、より楽園のイメージに近いと感じたこちらの写真を使いました。

Art, Bonne journée

Le génie

Le génie, c’est l’erreur dans le système.
天才とは、システムのエラーである。

Paul Klee
パウル・クレー

 ソフトウェア技術者が聞いたら勘違いして大喜びしそうなこの言葉は、残念なことにコンピュータとはまったく関係ない。パウル・クレーが亡くなったのは1940年の6月の事である。ソフトウェアの原型を作ったアラン・チューリングが若くして亡くなったのは1954年だから、関係ないと断言できる。ソフトウェアがシステムレベルとなるのはずっと後の事だ。
 この言葉がどんな文脈で発せられたのかは把握していない。原典にもあたれていない。だから本当にパウル・クレーの言葉かどうかも分からない。きっとあちこちに書いてあるからパウル・クレーの言葉なんだろうという程度である。だから誤解している可能性がある事を承知で書くが、ここでいう意味は日本語にはなかなか訳しにくい「系」なのだろうと思う。
 平たく言えば、「系」とは様々なものの組み合わせで出来ている仕組みのようなものだ。だから、社会そのものでもいいしスーパーマーケットの物流網を想像したって良い。その仕組みにエラーがあった時にそれを天才だと言っているのかなと思う。まずこれをやって、次にこれをやって、そうしたら誰かにその結果を渡して、なんていう手順と実際に行う仕組みは、物事をスムーズに行うための仕組みである。それがあるから失敗なく短時間で仕事が終えられる。それなのに、こんなことやめてこっちの方を先にやったら?などと一日がかりの仕事を30分で終えてしまうようなやつは、仕組みを壊すエラーであると同時に天才というものだ。
 そんな事を言っているのかどうか知らないが、あの他の誰にも引けないような線で天使を描いたパウル・クレーがどんなことを考えてこれを言ったのか興味深い。忘れっぽい天使は、誰に才能を与えたのかすら覚えていないのかも知れないが、その感性に満ちた才能とシステム・エラーは関連しているのだろう。

 Paul Kleeの日本語表記は、ほぼパウル・クレーに統一されているようですので、これに従いました。

Bonne journée, Cross Cultural

2020年4月


 ふとしたことからiPhoneの古い写真を見ていて気がついたのだが、4年前の4月、つまり2020年の4月と言えば、コロナのパンデミックで世界中が右往左往していた時期だった。フランスは世界一厳しいと言われたロックダウンを宣言し、3月半ばから5月の半ばまで、自宅から1km以内かつ1時間以内の外出しか許されない厳しい外出禁止が施行されたのだった。例外は病院などに行く場合か、生活必需品を買いに出かける場合程度であって、必ず宣誓書と身分証明書を携帯することが義務付けられた。スーパーは開いてはいたが、人流は制限され、裏口を閉めるなどの管理措置が取られた。上の写真は、新たな指示があるまで閉鎖する旨が記載された張り紙である。

 今思えば、どうやって生活していたのだろうと不思議な感じがするのだが、それでもしっかりイースターのチョコレートは食べた記憶があるから、スーパーへの買い物程度はしっかりしていたのだろう。ロックダウンして暫くは買い物にも困ったわけだが、そのうち生活必需品の買い物は外出制限の例外という理解で良いらしいと言った情報が出てきて、大型スーパーでの買い物程度はできるようになったのは間違いない。

 そのイースターのチョコレートが生活必需品なのかどうかは色々意見があろうが、チョコレートは立派な食料品であり、イースターを祝うことはフランス人にとって重要な日常生活の一部ということらしい。今年のイースターは3/30だったが、イースターは移動する祝日だがら、3月末から4月末辺りをうろうろする。調べたら2020年は4/12だったようである。街中にはイースター飾りが溢れ、人通りのほとんどない路地を「生活必需品」を手にいれるために歩くのは、案外小さな楽しみとなった。

 無論、どんどん拡大解釈をする輩も現れるわけだが、羽目を外せば130ユーロの罰金が待っている。そこは真面目にロックダウンに従うしかないのだった。ロックダウン直前に会った友人が、次に会うときにはお爺さんみたいになってるねと笑っていたが、美容院は生活に必須ではないとしてクローズされていたから、案外冗談でもない。出社が許可された食品工場では集団感染が発生し、政府の措置もあながち極端とも言えなかった。テレワーク(フランス語ではテレとらばーゆ)しながら食料品を買うときのみ外出する生活は、実はその後も長く続いたのだった。

Bonne journée, Photo

faveur, favor


«Comment est-ce que je fait pour aller la ba?»
«Oh, il faut que vous vous reposerez un peu.»
«Alors, je peux te demander une faveur?»
«Non.»

“How do I get over there?”
“Oh, you need to rest a little.”
“So, can I ask you a favor?”
“No.”

「どうやったらあそこまで行けるの?」
「ああ、少し休んだほうがいいですよ。」
「じゃあ、お願いしてもいい?」
「だめ。」

Il est étonnamment difficile de prendre des congés. Les causes résident à la fois dans l’environnement et en moi-mêmes.
It’s surprisingly difficult to take time off. The causes lie both in the environment and within myself.
案外休みは取りにくい。その原因は、環境にも自分にもある。

Above photo was taken in France and obviously nobody would care where it is.
上の写真はフランスで撮ったものだが、誰もそれがどこかなんて気にしないだろう。

Bonne journée, Cross Cultural

Warm winter


(English text at bottom)

 1月上旬だというのに今日の横浜は17度ほどまで気温が上昇したようで、外を歩くのにも日差しの下ではコットンシャツだけでも十分な暖かさだった。春のような陽気に家庭菜園で作業する人や公園で遊ぶ子供たちも多く、すれ違う人々も皆コートを脱いで脇に抱えていたりした。
 寒い冬型になる前には低気圧が日本列島を通過していくわけだが、多分今日はだいぶ北を通ったのだろう。その低気圧に向かって南風が吹き込むから南関東には太平洋の暖かな空気が入り込んで気温が上がるのだとどこかで聞いた気がする。地球温暖化なのか、それとも毎年の恒例行事となったエルニーニョ現象の類いなのか、きっと誰にも分からないのではないかなどと、少々悲観的な見方をしてしまう。

 そんな暖かで日差しのある時には、室温も上がる。室温計は昼時には23度。午後には汗ばむほどになって、甘ったるいアイスコーヒーが飲みたくなった。
 コーヒーを飲む時はエスプレッソだろうがドリップだろうがいつもブラックで、その上コーヒーを飲んで眠くなるタイプだったからフランスでは変人扱いされた事もあったが、まれに甘ったるいアイスコーヒーが飲みたくなることもあるのである。つまりは、その甘ったるいコーヒーと普段飲むコーヒーは、自分の中で別物なのだ。
 ヨーロッパにはアイスコーヒーがないと書いているサイトもあるが、全くないわけでもない。確かにフランスのカフェには滅多に置いてないが、今時はスタバも進出しているし、スーパーに置いてあったりもする。ギリシャでは昔からフラッペというインスタントコーヒーを泡立てたアイスコーヒーがある。しかも名前はネスカフェだったりする。中身はフラペチーノみたいなものだが、氷が入っているとは限らない。ずっと庶民的な感覚の飲み物だ。
 あー飲みたい。

Even though it was early January, the temperature in Yokohama seemed to have risen to around 17 degrees Celsius today, and it was warm enough to walk outside in just a cotton shirt under the sunshine. There were many people working in their vegetable gardens and children playing in the park in a cheerful spring-like atmosphere, and everyone I passed took off their coats and carried them under their arms.

A low-pressure system passes over Japan before it becomes a typical winter atmospheric pressure distribution, but it probably passed quite north today. I think I heard somewhere that southerly winds blow into the low-pressure area, causing warm air from the Pacific Ocean to enter the southern Kanto region, causing temperatures to rise. I take a somewhat pessimistic view, thinking that no one will ever know whether it is global warming or a type of El Niño phenomenon that has become an annual event.

When it’s warm and sunny, the room temperature rises. The thermometer read 23 degrees at noon. By the afternoon, I was sweating so much that I wanted a sweet iced coffee.

When I have a coffee, whether it’s espresso or paper drip, it’s always coffee without sugar nor milk, and on top of that, I’m the type of person who gets sleepy after I drink coffee, so I was treated like a weirdo. It was when I lived in France. But on rare occasions, I find myself craving a sweet iced coffee. In other words, that sweet coffee and the coffee I usually drink are different things for me.

There are some websites that say there is no iced coffee in Europe, but that doesn’t mean there is no iced coffee at all. It’s true that they are rarely served in French cafes, but Starbucks has expanded into French market these days, and you can even find them in supermarkets.

In Greece, there has been an iced coffee called frappe for many years which is made by whipping instant coffee. Moreover, the name is maybe Nescafe. The filling is similar to a Frappuccino, but it doesn’t necessarily have ice in it. It has always been a soft-drink with a commoner feel.

Ah, I want it.