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旅先で迎える朝は、大抵すこし面倒だがワクワクする儀式が待っている。昨夜、逃げ込むように潜り込んだホテルのベッドから抜け出し、カーテンを開け、まだ下着のまま朝の日差しを浴びて伸びをする。シワのついたシーツはそのまま放ってバスルームに向かい、顔を洗って鏡で目を覗き込む。多少疲れた目には異常がないことを確かめると、おもむろに身支度を始めて思いを巡らす。さて、今日はどんな食事で1日を始めようかと。
ペンキがはがれかけた窓枠を強く押し出し、わずかに湿気を含んだ外気を吸う。歪んだガラス越しに朝日にシルエットとなった鳩が羽音をたて、煙突のひとつから微かに煙がたなびく。余韻を残すように短いクラクションの音。再び静寂。そして、少し甘酸っぱいものが食べたいなと思う。協会の鐘。
知らない土地で朝食を探すのは面倒だ。コンビニでもあれば適当に何か買って胃に入れるかなどと思うこともあるが、日本から一歩出ればそうもいかない。だからといって、知らない土地では探しようもない。朝はまだ街が始動していないのだ。そのまだ人々の騒々しい声も通奏低音のように続くエンジン音も無い朝、その土地の日常の隅っこにある土地のパン屋さんを訪ねるのは、フランスでの案外代え難い楽しみである。街であれば少なくとも数ブロックにひとつはパン屋さんが開いている。季節がよければリンゴなどの果実類を売っていることもある。朝、モーニングのあるカフェで過ごすのも良いが、8時前ではコーヒーとクロワッサンをカウンターでというのが精一杯。であれば、焼きたてのレザンでも買ってどこかで食べるのも悪く無い。
久しく遠い旅をしていない。

Beautiful cruise ships in the port
Oh, yes. It’s a ship of Princess Cruise probably you know.