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Floral Friday #216


English text at bottom

 桜と言ってもソメイヨシノとは限らない。ありとあらゆる場所に植えられたわずかにピンク色の混じったソメイヨシノは花だけが先に咲いて確かに見事なのだが、少々出来すぎというか、なんだか特別すぎてしっくり感じないこともある。樹皮も桜らしくないザラザラした感じであるし、散り際の舞う花びらも美しいが、あまりに一度に散るので茶色になった花びらがジメジメと地面を覆い尽くす。だから、少し違う桜を見るとちょっと嬉しい。

 写真の花が何かは分からないが、真っ白な桜で花が満開になる前に葉が出てくるからソメイヨシノではない。ソメイヨシノより数日早く咲き始めるので、クローンのソメイヨシノではないのだろう。オオシマザクラにしては白さが強いし、専門家でもないので全く分からない。いつも写真に撮るのは近所のこの桜である。

 まあ、色々書いても、結局は今の桜の咲く時期が楽しみであることには違いない。寒く暗い曇りの日を自宅で過ごすこともあれば、桜時雨に濡れる外出もある。抜けるような冬の青空が淡く白い空に変わる頃、セーターを畳んでクリーニング屋さんに持って行くのも春なのである。

The word “sakura”, cherry blossoms, has many meanings that describe spring. For instance, sakura-shigure means the drizzling rain or showers that fall when the cherry blossoms bloom. Cherry blossoms have always been a symbol of spring.

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Floral Friday #215


 南フランスの花というイメージも強いミモザだが、意外にも原産はオーストラリアだそうだ。コートダジュール近辺で切花として栽培が盛んになったミモザが、やがて観光資源となって南フランスのイメージとなったらしい。確かに黄色のふわふわっとした花が丘一面に咲いているのを見れば、春をつげる花として親しまれるだろうと容易に想像できる。日光を好む植物だから、晴れの多いプロバンスの気候にも合っていたに違いない。

 ミモザの和名はフサアカシア。今では日本でもフサアカシアよりミモザの方が通りがよい。ミモザを学名とする植物はオジギソウで、いろいろWebで調べてみたら葉がオジギソウに似ているからオジギソウのアカシアという意味でミモザ・アカシアのように言われたという解説がいくつかある。南仏にはmimosa(sがひとつの場合のフランス読みは、ミモサではなくミモザと濁る)と名のつく道や土地もあって、どれが最初でミモザというのかちょっと分からなかった。

 そんな名前のことはどうでも良いのだが、庭に植える時には少々検討がいる。地植えのミモザ(フサアカシア)は相当に大きくなる。公園などに植えられて手入れされているものを見ても、樹高は容易に10mクラスに達し、ビルのような巨木だと思った方が良い。家には簡単に植えられそうにない。写真のミモザもフサアカシアではない、別種である。なんだか違うんだよなと思っていたら、日本では黄色の花が咲くアカシアの仲間をミモザと呼んで売っているのだそうだ。フサアカシアのような花が樹高2m程度で楽しめるなら、それはそれで良いというものだ。

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Floral Friday #214


ハクモクレンが雨に濡れている。普段は焦茶色にくすんだ枝も、雨に現れて赤く輝き、降り頻る雨が飛び回る小さな虫のように春をつげる。落ちたがらない雨粒はようやくその赤い枝にしがみつき、煙った空気の向こうで自由奔放な紅梅が雨を楽しむ。ホッとする春がある。

The white magnolia tree is wet with rain. Its branches, usually a dull dark brown, shine red by washing out in the rain, and the drizzling rain heralds spring like little bugs flying around. The raindrops that don’t want to fall finally cling to the red branches, and on the other side of the foggy air, the free-spirited red plum blossoms enjoy the rain. That’s the spring that makes you feel relieved.

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Floral Friday #213


 ブルビネラという名前だそうだ。フラワーアレンジなどに使われるらしいが、これまで花屋さんでは気がついたことがなかった。調べたら真っ先にニュージーランド原産と出てきたが、それは同じ種の仲間の話で、どうやらこちらは南アフリカ原産。この写真は南房総で撮ったもので、やっぱりあのあたりは温暖なのだろうなんて考えていたら、寒さには強いのだと書いてあった。ひとつ勉強になったななんて思いつつも、一方で、きっと忘れてしまうんだろうなとも思う。ただ、ちょっとだけ期待が持てるのは、別名の方である。African Cat’s Tail、猫のしっぽ。こちらは覚えていられそうである。

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Floral Friday #212


 今日のポストは完全に予約投稿であって、このテキストを書いているのは実のところ6日も前の3月8日だったりする。写真はさらに一週間前なので、本当の時間は自分でもよくわからない感じになっている。予定がたくさんあるのは良いことなのだが、皺寄せも大きいので、「やることないから本でも読もうかな」なんて考えるくらいがちょうど良い。もう、積読が多すぎて本を買う気も起きない訳で、現代社会は忙しすぎるんじゃないかなんて、過去も知らずに言いたくなる。
 先日、フランス在住のフランス人と昔話をしていたら、しみじみと夏の湿気が懐かしいと言う。前の仕事がひと段落して今は一緒に仕事をすることも無くなったが、そのフランス人が言うには、あの頃は良い時代だったのだそうだ。曰く、
 雨が降り続く長い冬を抜けてようやく天候が回復してきた4月から5月にお前がフランスに来て、一週間もかけて議論を重ね、その議論に従って翌年までの計画を検討し、7月の頭に俺が東京に行って計画を確定させる。そうやって前に進めてきたから、抜けるような青空の冬の東京も、梅や桜が咲く春の風景も、赤く染まる秋の紅葉も知らない。記憶に残っているのは、馬鹿みたいに高温多湿の暗い「梅雨」だけだ。「梅雨」という単語も覚えたし、「梅雨」のクレイジーな蒸し暑さも、次に進めるというシグナルだった。だから、ホテルに戻ってシャワーを浴びても一向にさっぱりしないベトベトした梅雨が懐かしいと。
 はい、すみません。思わず謝りたくなる日程だったと思い出して、梅も桜も見たことないの?と確認する言葉を思わず飲み込んだ。フランスにだってアーモンドやプラムの木もたくさんあるし、桜並木もない訳じゃない。それでもたまには日程を変えてもよかったかななんて今更思っている。