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(Floral) Friday Fragments #233


 Duolingoという言語教育アプリケーションがヒットしている。2024年国内で最もダウンロードされた教育アプリだそうだ。
 御多分に洩れず、自分ももう6年半も続けているのだが、このアプリが効果的なものかどうかは正直よくわからない。言語学習には王道なんてないと実感しているし、やり方がその人に合っているか否かというのは、言語が身についたかどうかではなく、続けられるかどうかだとも感じているの。だからその点ではDuolingoはその点では合っていたのだろう。
 正直に言えば、このDuolingoで言語が身についたという感覚はあまりない。向いている人も多いのだろうが、自分には他の言語に触れ続けるためのツールでしかなかった。日常会話にも、試験対策にも、学んだことが使えたなという実感はほとんどない。ただ、あまり学習として効果的ではなかったとしても、続けられるという点では少なくとも自分に向いていたということは言えそうだ。続けることは、案外重要である。もちろん言語にも依存すると思われるので書いておくが、少なくとも学んでいたのは英語ではない。言語によっても向き不向きがあるかもしれない。

 さて、本題はここからである。しかも言語ではなく算数の話だ。
 最近になって、このDuolingoには算数や音楽なども追加されたのだが、面白がって算数(英語版)をやってみたら、なかなかこれが考えさせされるものだった。最近は日本でも当たり前になったが、単純に計算するのではなく、

3 + [ ] = 7

のような問題があったり、文章題がインタラクティブな会話になっていたりと、さまざまな形式で算数の基礎を学ぶようになっている。しかも、

2 + 2 + 2 = [ ]

は、「2 × 3」ではなく、「3 × 2 」のようになっている。多くの言語では、これは、3個の2であって、2が3個ではない。必然的に英語版では英語で考えている。
 そんなふうに面白がって見ていたら、いただけない問題が出てきた。10度より2度低い温度は何度?(もちろん8度)という問題に続いて、

4度の2倍の温度は何度?

とあったのだ。数字を2倍にすることは出来ても、温度は簡単には2倍出来ない。
 2個のケーキの2倍は4個だし、50センチのリボンの2倍は1メートルだが、気温4度の2倍は8度ではないのである。必ずしも説明が適切とは言えないが、熱力学温度で考えるとして、4度の2倍は、華氏の問題なら約468度、摂氏の問題なら約281度とならなければならない。もちろんケルビンなら8度で良い。
 「おいおい、これはあくまでも算数の勉強のための問題であるから、よくわからない熱力学温度など持ち出すな」とお叱りを受けそうだが、そうはいかない。算数の根源に関わる問題だからだ。2倍の意味は数字に2をかけることではない。そもそも小中学校でそう習ったはずなのだが、多くの場合は聞き流すか、先生がちゃんと説明していない。ほとんどの場合、計算方法しか教えていないという事もある。
 Duolingoの算数には、もうひとつ問題がある。縦書きの筆算で未定義の引き算を行なっている。3段になった筆算の2番目の符号が省略されているのだ。こうした問題をやるなら、必ずその定義を記載しなければならない。学んだことを実践した時に不都合が出る。

 文化の違いは興味深いが、算数は文化ではない。算数は(数学は)、その他の教科と違って、物の定義を厳格に適用する必要があるのである。
 かつて、有名なマーケティングの先生の講義を受ける機会があって、興味深くその話を聞いていたら、途中から話に矛盾を感じようになったことがある。興味があって是非とも正しく知りたいと思い質問してみたら、なんとその先生はデータの単位や正規化の意味を知らなかったのだった。そりゃ話が矛盾するわけだ。3メートルのロープと1キログラムのロープのどちらが丈夫か?と聞いているようなものだった。そのマーケット分析手法の考え方は極めて面白いものだったが、結局は最後は直感だと言っているのに等しいのだから一気に興味がなくなった。とても話の面白い熱心な先生だったが、あの先生に学んだ学生はかわいそうと思うほどだった。算数は正しく使わなければならないのだ。

 あー、こんな事書いたらまた叱られる!

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Floral Friday #231

(日本語は少し下にあります)
There is a saying that the weather is good for ten days after the end of the rainy season. This is old knowledge that the high pressure in the Pacific Ocean becomes stronger, hot winds from the heated sea in the south cover Japan, and sunny weather continues. It would be nice if this means the end of the humid air of the rainy season, but it also means that the intense heat is about to begin. Sigh.

 「梅雨明け十日」なんて言うが、今年は長い長い真夏のような梅雨の中休みがあったので、どこが梅雨だったのかわからなくなっている。「梅雨中十日」であった。で、そろそろ本当に梅雨明けしたなと思える暑い十日が過ぎた。(それなのに、この写真は盛夏じゃないじゃないかと言われそうだが。)やれやれ。立派に暑い。

 これからの季節にも百日紅とか夾竹桃といった夏の花が楽しみではあるが、やっぱり真夏は花が寂しい。ハナスベリヒユも、朝のいくぶん涼しい時間帯に動くからまだ咲いていない。そんな寂しさを感じながら、やっぱりヨーロッパは夏は涼しいんだなと思うのである。もちろんヨーロッパだって夏は花が減るのだが、ずっとたくさん咲いているのだ。紫陽花だって夏の花である。
 だからたまにやってくるサハラ砂漠からの熱波で、北部フランスやドイツは大変なことになるのだ。40度も気温があるのに、エアコンなんて入っていない。たった数日のその暑い日のために、エアコンを買うのは考えにくい。
 じゃあ、やっぱり日本の方が過ごしやすい?なんてことはもちろんない。

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Floral Friday #230


 暑いのが苦手である。湿気が苦手である。関東の夏は苦手である。でも、北関東生まれなのである。
 子供の頃、7月の夏祭りに連れられて鄙びた夜の街をあるき、陽気なお囃子と朱に滲む提灯のあかりを反芻しながら家に戻る帰り道、スーッと飛ぶ蛍の檸檬色のような光に思わず手を伸ばした。手に持っていた団扇に蛍があたり、大人たちがあらあらと言いながら捕まえてくれたその蛍は、蚊帳の中でしばらく光っていた。雨戸を開け放ち、戸締りなど無縁な田舎の古屋で、涼しい風を感じながら眠りに落ちたのは、今思えばまだ9時くらいの早い時間だった。大人たちは、それから瓶ビールなどを飲みながら、きっと遅くまで起きていたのだ。
 少し後になって、自分は中学生になり、体育館で夕方の部活動をしていた時だった。雷雨になるなとは分かっていたが、その日は不意に強烈な雷がなって、程なく先生が慌てたように体育館から出るなと言いにきた。校舎までの渡り廊下は通ってはいけないと。確かに5分後には強風が吹き始め、やがて豪雨が渡り廊下を洗い始めた。雷はますます激しくなり、開け放っていた体育館のドアからも霧のような水が飛び散るように入ってくるようになった。北関東生まれの北関東育ちだったからそんなことには無頓着だった。いつもの夏の雷雨。近所の神社の御神木が燃えたこともあった。30分もすれば雨も小降りになって、涼しい渡り廊下を歩いて校舎に戻ったのだった。体育館の横には、芙蓉だったか木槿だったか記憶が定かでないが、ハイビスカスのような南国風の花が咲いていた。
 いつからか、その涼しい夏の感覚が思い出せなくなっている。さて、どうしたものか。

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Floral Friday #229


 その表現が適切なのかどうかちっともわからないのだが、太陽の沸き立つプロミネンスが弾け飛ぶように見えた。水曜日の太陽は鼻にツンと来る金属臭を撒き散らしていたというのに、金曜日の太陽はどこか柔らかで、弾け飛ぶプロミネンスですら瑞々しく思えた。その太陽の表面には熱い息を吹き出す口が無数に開き、イソギンチャクのように通りかかる哀れな何かを待っているようにも見えた。焦げついた太陽の表面から伸びるピンクのプロミネンスには、よく見れば何かを掴み取るつるが延び、青臭い沼のような緑の宇宙でゆらゆらと揺れた。
 休日の朝、何かをするには汗臭く熱い空気がコンクリートのようにじっと漂っていた。

Bonne journée, Cross Cultural

paracétamol


 頭痛持ちである。若い頃から頭痛薬が手放せない。最初はアスピリンを常備薬にしていて、途中からイブプロフェンを使うようになった。最近はロキソプロフェンも普通に買えるようになったので、非アスピリン系の頭痛薬の歴史みたいな生活になってきた。
 もちろん、毎日飲んでいるわけではない。毎日頭痛がするわけでもないし、もし痛みを感じても、痛みがひどくなった時の具合で服用するか決めている。頭痛持ちの人には理解してもらえるかもしれないが、そうでないと危ない奴みたいである。親も同様だったので、体質の遺伝みたいなものかもしれない。
 写真の薬は、サノフィの痛み止めである。
 サノフィはフランスの大手薬品メーカーだからか日本だとあまり知られていないが、最近はアレグラの会社として知名度が上がっているようである。フランスのどこの薬局に行ってもこのドリプランという薬を売っているが、これもまたサノフィであり、主成分はアセトアミノフェンだ。つまり、子供でも飲めるかなり安全な痛み止めであり、コロナが猛威を振るった頃に売り切れになったカロナールと同様のものである。
 パッケージには、過剰摂取=危険と赤い文字で書いてあるが、実際のところ、フランス政府は、イブプロフェンは危険だからできるだけ摂取するな、アセトアミノフェンは普通に飲んでも大丈夫なんて言っている。だからなのか、フランス人はちょっと調子が悪いとこのドリプランを買って飲む。健康診断で行ったフランス人医師の部屋の壁にはポスターが貼ってあり、アセトアミノフェンは安全だから飲んでも良いが、痛みが続いたり、熱が下がらなかったりしたら、医者に診てもらえと書いてあったくらいである。連続して飲むことが問題ではなく、連続して飲まなかればならない時には、重大な問題があるはずだから医師に診てもらえということらしい。
 ほんとか?とも思うが、少なくともフランスではアセトアミノフェンは、かなり安全な薬とされていて、日常的に使って良いとされている。自分もイブプロフェンを飲み続けるのは躊躇われるため、痛みがひどくなければ、アセトアミノフェンにするようにしてきた。
 しかしである。よく見ると、500mgとなっている。日本のアセトアミノフェンは、300mgであり、痛みが酷ければ、6時間をおいてもう一度服用して良いとされている。300が2回なのだから600mgなわけで、フランスのこのドリプランは、1回で2回分に近い量を服用することになる。なんだか本当に大丈夫?とか思うのだが、きっと大丈夫なのである。何しろ、薬局に行ってドリプランがほしいと言うと、500か1000か?と聞かれるのである。500mgに決まっているだろうとか思うのだが、1000mgも普通に売られている。日本での3回分より多い。処方箋もいらない。日本なら簡単に買えそうな風邪薬に処方箋がいるフランスで、なぜか1000mgのアセトアミノフェンは、普通に買える。イブプロフェンを買おうとしたら、症状を根掘り葉掘り聞かれ、その上、飲み方を細かく指導されたというのに、アセトアミノフェンは顔パス。
 フランス旅行中に解熱剤が欲しくなったらこのドリプランを買うのが良い。薬局に行って、”doliprane 500″ と書いた紙を見せれば、きっとこれが出てくる。万が一、何か聞かれたら英語で押し通しても良いが、おそらくは言葉が通じないと分かればこれなら売ってくれる。きっと2ユーロそこそこ(400円以下)。それくらいお気楽な薬である。本当にそれで良いのか?という疑問はこの際捨てておく。
 なお、アセトアミノフェンは通じない。パラセタモル(paracétamol)と言う。これはイギリス英語でも同じなので、覚えておいて損はない。