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Floral Friday #219


 4月からゴールデンウィークにかけての関東は、案外晴れない。日替わりで晴れと雨の天気が交互に来たりするが、日差しがあっても一日晴れるというものでもないし、晴れても乾いた青空があるわけでもない。それが季節の変わり目というものでもあるだろうが、ようやく日差しを浴びて外で活動できるようになったのに、ちょっと残念だったりする。
 そんな気分でいると、その束の間の光を捉えたくて、カメラを上に向けることも多くなる。木々の梢には緑の葉が出始め、花が咲き、思いの外強い光に目を細めるのは、いつものことである。その光溢れる空を見上げて、ようやく見ているものを写真で表現できたと思ったら、ベストショットと思ったハイキーな写真には、飛行機が写り込んでいたのだった。確かにそうだった。忘れていたわけではない。カメラを向けて何枚か写真を撮っていたら、ちょうど飛行機がそこに現れたのだ。面白がって、ドンピシャのタイミングで写真を撮ったのを思い出した。
 ところがである。分かっていて何枚か撮った筈なのに、思ったような露出になったのはその面白がって撮った1枚だった。それはそれで良いのだが、なんだか納得感がない。
 まあいいか。

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Floral Friday #218


 春のぼんやりした空を眺めながら、頭の中では呪文を唱えていた。
「ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング。」
もちろん呪文などではない。会社名であることも明白だった。ただ、見ていた資料に書かれた長い長いカタカナに困惑していたのだ。ここに書くわけにいかないので省略しているが、この呪文の前にはもう少しカタカナがついていた。
 その呪文の意味には、1時間ほどしてふと気がついた。有限責任会社であると。つまり、
「ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(GmbH)」
というドイツ語を切れ目なしに書き下してあったのだった。通常はこの前についている会社名に「GmbH(ゲーエムベーハー)」をつけて呼んでいるから、気付かなかった。ドイツ語が分かる人ならGesellschaft mit beschränkter Haftungも分かるのだろうが、こちらはドイツ語では日常の挨拶もままならない程度なので、もはや呪文だった。
 ちなみにこれにふと気がついたのは、もうひとつの社名を見ていたからである。
「バイリシエ・モトーレンヴェルケ・アクチエンゲゼルシヤフト」
最後のアクチエンゲゼルシヤフトはAG(Aktiengesellschaft)、株式会社である。つまり、この会社は、Bayerische Motoren Werke株式会社、自動車会社のBMWである。
 あー、知らない言語はややこしい。

 少しは知っているフランス語だから分かりやすいかと言われると、もちろんそうでもない。フランス語であれば、株式会社はS.A.と言う。société anonyme(ソシエテ・アノニム)。正確には、公開有限責任会社に相当する。知られた大企業の多くには、後ろにこのエスアーがついている。例えば自動車のルノーはRenault S.A.、アレルギー鼻炎薬のアレグラで有名なサノフィは、sanofi s.a.である。
 あまり詳しく書いても面白くないのでこれくらいにしておくが、何かと眠くなる春の麗らかな気候の中で、呪文を唱えるのはどうもよろしくないことは確実である。

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Floral Friday #217


English text at bottom

 ムスカリは欧州では時にネガティブなイメージのある花で、失望や憂鬱という花言葉が当てられている場合もあるそうである。世界最古の埋葬花なんていう記述もある。赤や黄色の華やかなチューリップの花壇の脇役として植えられたりもするから、あくまでも脇役の花でもある。こうやって公園のフェンスの下に密やかに植えられていたりするあたりも、主役ではない。それでも最近は至る所に植えられているから、人気の花なのだろう。この落ち着いた佇まいがむしろ鮮やかな春の花々の中で美しい。

While the flower language of Muscari is often negative, for some reason the flower language of Muscari in Japan is positive, such as generous love and a bright future. Recently, it has become a popular flower for decorating spring flower beds.

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Floral Friday #216


English text at bottom

 桜と言ってもソメイヨシノとは限らない。ありとあらゆる場所に植えられたわずかにピンク色の混じったソメイヨシノは花だけが先に咲いて確かに見事なのだが、少々出来すぎというか、なんだか特別すぎてしっくり感じないこともある。樹皮も桜らしくないザラザラした感じであるし、散り際の舞う花びらも美しいが、あまりに一度に散るので茶色になった花びらがジメジメと地面を覆い尽くす。だから、少し違う桜を見るとちょっと嬉しい。

 写真の花が何かは分からないが、真っ白な桜で花が満開になる前に葉が出てくるからソメイヨシノではない。ソメイヨシノより数日早く咲き始めるので、クローンのソメイヨシノではないのだろう。オオシマザクラにしては白さが強いし、専門家でもないので全く分からない。いつも写真に撮るのは近所のこの桜である。

 まあ、色々書いても、結局は今の桜の咲く時期が楽しみであることには違いない。寒く暗い曇りの日を自宅で過ごすこともあれば、桜時雨に濡れる外出もある。抜けるような冬の青空が淡く白い空に変わる頃、セーターを畳んでクリーニング屋さんに持って行くのも春なのである。

The word “sakura”, cherry blossoms, has many meanings that describe spring. For instance, sakura-shigure means the drizzling rain or showers that fall when the cherry blossoms bloom. Cherry blossoms have always been a symbol of spring.

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Floral Friday #215


 南フランスの花というイメージも強いミモザだが、意外にも原産はオーストラリアだそうだ。コートダジュール近辺で切花として栽培が盛んになったミモザが、やがて観光資源となって南フランスのイメージとなったらしい。確かに黄色のふわふわっとした花が丘一面に咲いているのを見れば、春をつげる花として親しまれるだろうと容易に想像できる。日光を好む植物だから、晴れの多いプロバンスの気候にも合っていたに違いない。

 ミモザの和名はフサアカシア。今では日本でもフサアカシアよりミモザの方が通りがよい。ミモザを学名とする植物はオジギソウで、いろいろWebで調べてみたら葉がオジギソウに似ているからオジギソウのアカシアという意味でミモザ・アカシアのように言われたという解説がいくつかある。南仏にはmimosa(sがひとつの場合のフランス読みは、ミモサではなくミモザと濁る)と名のつく道や土地もあって、どれが最初でミモザというのかちょっと分からなかった。

 そんな名前のことはどうでも良いのだが、庭に植える時には少々検討がいる。地植えのミモザ(フサアカシア)は相当に大きくなる。公園などに植えられて手入れされているものを見ても、樹高は容易に10mクラスに達し、ビルのような巨木だと思った方が良い。家には簡単に植えられそうにない。写真のミモザもフサアカシアではない、別種である。なんだか違うんだよなと思っていたら、日本では黄色の花が咲くアカシアの仲間をミモザと呼んで売っているのだそうだ。フサアカシアのような花が樹高2m程度で楽しめるなら、それはそれで良いというものだ。