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Floral Friday #181


 ラベンダーは地中海原産で、プロバンスでは七月の上旬に咲くらしい。咲く「らしい」と言うのは、その季節に行ったことがないので見ていないからだ。
 プロバンスでなくても夏にあちこちで咲くラベンダーは、満開になるとムッとするほどの香りを放つ。品種改良が進んだのか、少し涼しい北部フランスでも咲くし、日本の暑い夏でも咲き続けることもある。日本の気候ならおそらくは北海道あたりが適しているのかも知れないが、35度の東京近郊でも問題ない。
 良い香りと紫の花は、なるほどシソ科の植物だと思わせる。シソの実を指先で削ぎ落とすなんてもう暫くやっていないが、ラベンダーを見ていると同じようにやれそうである。指先にザラザラとあたりながらも気持ちよくこそげ落とすシソの実とりは、どこかプチプチをつぶすのと似て、いつまでも楽しめる。ひょっとしてそうやってラベンダーの花を落として乾燥させたらポプリにもなるのだろうか。
 そんなことを考えていたら、無性にやってみたくなった。いやいや、いかん。公園のラベンダーだった。

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Floral Friday #180


 先日フランス人の知人と話をたら、週末からバカンスなんだと嬉しそうにしていた。もはや義務なんじゃないかと思うくらい、誰も彼もが家を空けて、どこかにいなくなってしまう。やれ近場の貸別荘だ、今年はピレネーでキャンプのつもり、やっぱりイタリアでしょと、それぞれが車に大量の荷物を詰め込み、あるいはスーツケースをパンパンにして大忙しと言うものだ。

大抵は二週か三週は出かけているから仕事は大変。今年は7月の上旬から取るから8月の仕事は任せておけなんて会話しても、そもそも夏に真面目に仕事をするわけがない。8月の終わりに報告しあって、勝った負けたと意味不明な会話が続くのだ。「今年は南仏で過ごす奴が多かったが、あっちは曇ったり降ったりで海は楽しくなかったらしい。その点、地元の海は30度もあって泳ぐのには最高だった。」なんて報告されたことも一度や二度ではない。

 フランス在住の日本人だって例外ではない。夏休みを使って日本に里帰りする人も多いし、夏の期間は飛行機代が高いからクリスマス休暇を長くとるなんて考えの人もいる。夏休み期間を使って日本から遊びに来る人がいれば、一緒に近場の観光地巡りなんてこともあるだろう。

 そんなわけで、7月の半ばから8月の下旬までは、誰かしら人がいない。特に7月下旬から8月上旬はガランとしてしまう。スーパーはかろうじて開いてはいるが、行きつけのパン屋もレストランもみんな休みだから、街は死んだように静まり返る。そんな話をしていたら、日本の同僚が急に疑問を感じたらしい。
「じゃあ、オリンピックはどうなるの?盛り上がってないの?」
フランス人だってオリンピックに興味がないわけではないが、そもそも外国選手を知らないし、パリ以外の人には他人事。日本みたいにTV放送が埋め尽くされることはない。そのパリも、人がバカンスでパリを離れている期間だからこそパリで開催できるわけで、パリっ子が熱くなっているわけではないらしい。
「ハンドボールくらいは見るかな。」
そんなことよりバカンス先でのレストランを気にする人たちである。

 バカンスから帰って来れば、新学期で忙しい秋。8月の半ばには冷たい風が吹き始め、9月には紅葉が始まる地域には、夏は7月下旬の今しかないのだ。オリンピックなんて見てる場合じゃない。

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Floral Friday #179

(English text at bottom)
 いつ、なぜ、どこで、なぜ撮ったか分からない写真というものがある。この写真がまさにそれで、さっぱり思い出せない。
 どこにでもあるいい加減な花の写真ではあるが、わざわざ残しておいたのだから、何か思い出なり考えなりがありそうなものだ。
 ところが、じっくりと眺めてもみたが、「もしかしたら」なんて思うことも何ひとつない。どこかにバッタでも隠れているとか、緑の葉の影が面白かったとか、花のオレンジが光の中で美しかったとか、まあ何でも良いのだ。ひょっとして奥の光が面白かったのか?
 じゃあ、なぜ今回のFloral Fridayに選んだのかと言えば、目についたからである。客観的に見てはいけない類のものなのだろう。これを撮った時も、保存した時も、そして今回選んだ時も、何故か目についたに違いない。そこには、思い出も写真の出来も関係ないのだろう。おかげで今週のネタができたのだからOKだ。

There’s a photo where you don’t know when, where or why you took them. This photo is a perfect example of that, and I can’t remember anything.
It’s just another photo of a flower you could find anywhere, but there would a reason why I took it. Just for puting some memory or thought behind it, I thought.
However, even after looking at it carefully, there was nothing that made me think “maybe.” It could be anything, like a grasshopper hiding somewhere, or the shadow of the green leaves was interesting, or the orange of the flower was beautiful in the light. Perhaps the light in the background was interesting?
Probably I had no reason. I just felt looking good?

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Floral Friday #178


 楽しそうに歌い出す青い花々の手前でくるくると回り続けるチコレート色の雄蕊をながめ、若いっていいなと思ってしまったことに苦笑する。クリーム色と言うには少々華やかさのある黄色は、柔らかな色合いを強調する様なそばかす状の茶色の斑点に一層輝いて見える。だから若いと思ったのか、それとも勝手な想像なのか。

 この週末は、ポスト予定はありません。次のポストはMostly Monochrome Mondayです。

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Floral Friday #177


 アメリカ大統領選だろうが、都知事選だろうが、どんな報道を見ていても同じようにしか見えない。それがいい加減な連中の茶番を見ているからなのか、自分の中で関心が薄れてしまっているのか、とんと分からない。それでも時間は流れ、地球は寸分違わず太陽を周り、自分はといえば喉が乾いたななんて思っていたりする。直接的に物事を見るなら、しっかり社会に関心を持って日々を過ごすことが必要ということなのだろうが、ちょっと身を横に避けてみるならば、茶番に付き合わないよう過ごす術を覚えることなのではないかと思い当たって少し悲しい。それでも時は流れてしまうのだから。

 紫陽花の花が終わって茶色になり始めたのを季節が進んだことの証と思うのは簡単だが、案外、人はその茶色になった紫陽花を見ようとしない。茶色になった頃だから見えるその色を美しいと思うか否かは人それぞれ。気が付かないのは、枯れ始めた紫陽花に関心がないのか、それとも身を引いて見ているのか。

 枯れかけた紫陽花って、案外綺麗ですよ。