Bonne journée

summer

もうかれこれひと月近くなる。正確に言えば、ちょうど4週というところだ。全くだめとは言っているつもりはない。それどころか今が冬ならいつも通りなのだろう。でも4週ともなると気も滅入る。天気の話である。天気の話など社交辞令的な挨拶を始める共通語みたいなものだとか、話したところで何も変わらない無味乾燥の枕詞だとか、いろいろ散々に言われるが、4週も寒い日が続くとそれはそれでひとつの共感の源である。

ブルターニュ地方は、おおよそ10月から4月の間、曇ったり降ったりを繰り返す。晴れは続かない。まれに非常に寒い朝がやってきて、その日は1日雲ひとつない快晴となることもあるが、大抵は晴れても半日である。一日中曇っていて、ほんの30分ほど日差しがあるほかは、小雨がふったり止んだりということも多い。おかげでブルターニュの人は傘をさしてバーベキューをすると揶揄されたりもする。

これが5月頃から秋の気配を感じ始める9月初旬までは、天気はだいぶ良くなる。特に6月中旬から7月は日本の真逆で爽やかな夏が楽しめる最高の時期である。誰もが外に出て短い夏を謳歌する。家の庭で食事をしたり、公園の芝生に寝転んで読書を楽しんだり、時に下着姿で日光浴をしながら一所懸命太陽を溜め込む。今溜め込まないと冬の間に体からすっかり光が抜け落ちてしまうとでも言わんばかりである。

その夏の光が今年は全くない。

いや、全くないというのは言い過ぎかもしれない。20度に届かない時々小雨がぱらつく外のテーブルでコーヒーやビールを楽しむ人はたくさんいる。もはや意地である。もうマスクはいらないなどとミスリードな事を言う政治家に乗せられて、2年前の夏に急速に戻ろうと必死になって外に出ているようにも見える。その結果、たった1週間で感染者は倍になった。もうロックダウンはしないと言ってはいるが、8月中にはロックダウンせざるを得ない水準になるだろうという声もちらほらあって、本来の夏の日差しを感じる頃には厳しい状況になるのかもしれない。

もう夏は戻ってこないのだろう。

もちろん悲観的になる必要など全くない。ただ、誰もいない色褪せた池の反射を眺めながら、案外そんな中にさまざまな色を見つけるような、そんなどこか憂う夏があるらしい。

Bonne journée

Bretagne

「パリはフランスとは違う。だから、マスクもしないたくさんの若者がセーヌ川のほとりでビールを楽しんでいるなどと、パリの事をフランスの事のように話さないでほしい。」

しばらく前に少しだけお知らせしたテキストの全文を公開しました。「le vent d’ouest(西風)」というタイトルでシリーズ化できたらと思っています。まずは、Bretagne(ブルターニュ)について。上のバナーからもリンクしています。

Bonne journée, Photo

grumbling rain

夏の光が次々とこぼれ落ち始めて、もうこれで少しくらい寒い日があってもそれを受け入れられそうだなどと勝手に決めつけてからいくらも経たないうちに、ツンと酸味が鼻に抜けるようなシードルの香りも足首に抜ける青臭い風もすっかり忘れ、冷え切った雨が錆色の石畳を濡らす遅い春が戻ってきてしまったようだった。もはや掴みどころのない不安でも不確実な明日への焦燥でもなく、単に果てしなく続く倦怠感の深さを表すだけとなった毎日の数字に、乱雑なカフェでのおしゃべりと時計仕掛けの職場に揺れるマスクとが今日と明日との隙間を行ったり来たりする。少し行き過ぎた夏の日差しを冷やすには程よい雨が、夜10時を過ぎてようやく夕暮れを迎える夏至の悪徳を洗い流す6月の終わり。もう夏は来ないのだと、すれ違う自分がささやいたような気がした。まもなく不愉快な汗が楽しみになるはずと、冷気が流れ込む窓を閉めようとする自分が言い返した。

夏の暑さが来ると同時に屋外でのマスク着用の義務も無くなったフランスは、羽目を外した大騒ぎとそれに眉を顰める人々とのバランスで成り立っているようにも見える。一部では目立って新規感染数が増え始めているとのことで、来年に大統領選を控えた今は打つ手が少ないのだろうか。

Bonne journée, Photo

Morning dew (am I)

The third lock-down was over several weeks ago. France is still under curfew but it’s much shorter, indeed 21 to 6. People is having daily lunches at the terraces and a town is going to be a bit noisy. For the moment, however, I don’t feel like to do the same way. I rather prefer strolling around a forest early morning. 

フランスはまだ夜間外出禁止が続いてはいるが、徐々に日常が戻ってきた。テラスで食事をする姿はもはや日常だ。自分はといえば、まだまだその仲間に入ろうというきにならず、早朝の森を彷徨っている。