
肩を押す春風の重みに頭を垂れ、
こめかみを締め付ける冷気に肩をすくめ、
目尻に刺さる鋼色の三日月にまた宇宙を見上げる。
繰り返す昨日と明日が同じでないことに
間も無く脱ぎ捨てるコートを思い出して安堵を覚え、
繰り返す昨日と明日が同じであることに
腕まくりするシャツを思い出して不安を感じる。
チチと鳴く鳥を探して甘ったるい空を見上げるのが春の兆し。
まだ冬枯れの梢にも、咲き始めた寒桜の花の間にも、鳥が忙しくしていた。

capturing in prose
肩を押す春風の重みに頭を垂れ、
こめかみを締め付ける冷気に肩をすくめ、
目尻に刺さる鋼色の三日月にまた宇宙を見上げる。
繰り返す昨日と明日が同じでないことに
間も無く脱ぎ捨てるコートを思い出して安堵を覚え、
繰り返す昨日と明日が同じであることに
腕まくりするシャツを思い出して不安を感じる。
チチと鳴く鳥を探して甘ったるい空を見上げるのが春の兆し。
まだ冬枯れの梢にも、咲き始めた寒桜の花の間にも、鳥が忙しくしていた。