Bonne journée, Cross Cultural

CO2

「だって二酸化炭素出さないでしょ」と何度も聞かされてきた。正直に言って二枚舌だと感じることもしばしばだが、二酸化炭素排出量と有機農業に対する意識は相当深い。フランスという国の新しい文化のようでもある。

モン・サン・ミシェルへの道を一般車両に対して閉ざして橋を作り直し、移動手段を電動バスと馬車に切り替えたのは2014年の夏であった。実に調査に10年、建設に10年と時間をかけてモン・サン・ミシェルは島に戻ったのだが、この時から工事車両や島内のホテル関係者といったどうしても必要な例外を除いて、島に渡る方法は原則徒歩か電動バスということになった。実際のところ、二酸化炭素を気にして橋を架け替えたのではなく、調査の結果2040年にモン・サン・ミシェルは島ではなく砂洲に囲まれた突端になると分かったからだが、この時駐車場を島側ではなく大陸側において一般車両を締め出そうと考えたのは正解だった。大潮の時には一部が海に沈むという橋のアイデアもあって、今ではすっかり巡礼の道が戻ったように見える。

フランスも例外ではなく、政治的な発想がどこにでもあるから、モン・サン・ミシェルに貢献したとかいったよく分からない理由で一般車両が橋を渡ることもある。そんな時は案外大排気量のリムジンだったりするわけで、想像するほどストイックでもない。それでもやれることはやる国でもある。ある程度の大きさの街なら自転車レーンが用意されていることも当たり前だし、自転車レーンの設置ができないほど狭い道でも自動車用のレーンを制限してでも設置する。自動車の相互通行が一方通行になったり、片側2車線が1車線に変更されることも珍しくない。

先日、知人がハイブリッドの車をやめて自転車に切り替えた。少々太り気味だったから、すっかりトレーニングとダイエットなのだろうと思ったら、理由は二酸化炭素排出量削減だそうだ。だから電動自転車に乗っている。どうせなら電動じゃない方が良いぞとアドバイスはしておいたが、アドバイスが心に響いたかどうかは分からない。まぁ、確かに車よりは体力を使うし、電動であっても車よりは二酸化炭素を排出しない。やらないよりやったほうが良いというのは間違いない。二酸化炭素と体重は、ある意味似たようなものである。