Bonne journée, Cross Cultural

Sushi

 フランスから日本への主な輸入品目について、ある大手教育出版会社が子供向け教材にワインや化粧品と書いているのにちょっと驚いた。自分の記憶違いを恥じて統計データを見たが、やはりそんな事はない。機械装置類や医薬品が多いのである。しかもその教材には、日仏間の貿易は活発ではないともある。確かに大きくはないが、それでも15位程度だからむしろ活発だと言うべきだろう。
 恐らく少し古い資料なのだろう。今も使われている資料かどうかも分からない。だからその教材をとやかく言うつもりもない。ちょっとした事で状況も変わるだろうし、今や日本酒を輸出しようとしているくらいだから時代は日々変わるものなのだ。
 案外変われないのは社会よりも人間のほうである。一度思い込むと、事実を見せられても俄には信じられないのが常だろう。ワインや化粧品のイメージがつきまとうフランスから機械装置類が輸入されていたとしても、何の事かピンとこない。むしろワインと言ってもらったほうが安心できるというものである。

 先日酒屋の前を通り過ぎながら、ボジョレーヌーボーの広告が店の幅いっぱいに広がった横断幕の形で出ているのに気がついた。 日本みたいに大騒ぎはしないが、青色吐息のフランスのワイン業界にとっては大きなチャンスであることは間違いない。若者はワインよりもビールを選び、ロックダウンで最大顧客のレストランは大幅な売り上げ減となれば、お祭りだろうが何だろうが、なんとか買って欲しいと思うのが道理である。そんな中で空輸費用が上乗せされているとは言え、フランスの4倍の値段で売れる日本は重要な市場だろう。普段のテーブルワインと比べれば少しお高めの600円もするワインが、日本では2500円だったりするのだから、ワインそのものだけでなく、ワイン文化を輸出するくらいの勢いが良さそうだ。

 逆に日本からの文化の輸出と言えば、スシだろうか。この場合、寿司ではない。スシである。最近はどこのスーパーに行ってもスシコーナーがある。寿司のお弁当パックが並んでいる日本のスーパーを想像してはいけない。教育を受けたと思しき料理人が、売り場でスシを作って売っているのである。フランス人の知人曰く、巻いてあればなんでもスシだそうなので厳密には寿司ではないのだが、よほど日本よりも人気があるのだろう。ただ、巻き寿司の周りが七味唐辛子というのだけはやめてほしい。あれは味がどうこう言う以前の問題である。

 さて、フランスから日本に輸出する機械装置類と医薬品とは一体何なのか。どこかに詳しい統計データがあるのだろうが、調べた資料には記載がなかった。公的機関のデータだから詳細までは記載しないだろう。それ以上は調べていない。ただ、誰でも知っている企業名であれば、たとえば輸送機械のエアバスは数字に寄与しているに違いない。旅客機以外も作っているから、案外たくさん輸入されているかもしれない。医薬品といえばサノフィがある。抗ヒスタミン薬のアレグラの会社である。
 案外、日仏間は近い関係にある。