20時間の移動ともなれば、身体も頭もまともな状態であるはずもない。ふくらはぎはじんわりと熱を持ったように怠く、本を開いても3ページを待たずに行を見失う。ようやく慣れたホテルのベッドを抜け出してからすでに24時間。機内でうとうとしていたからその数字に意味があるわけでもないが、少なくともそろそろ平らなベッドが欲しいとは思っていた。だから、ボーイングの馴染みの機体が小さな振動とともに東京湾のそれでも青い海に囲まれた滑走路の隅に降りた時には、これでようやくフレッシュな空気が吸えるとひと安心したのだった。
もちろん東京が暑いことはわかっていた。とは言え、連日のニュースで38度という異常な高温と休まる余裕もない熱帯夜は聞いてはいたものの、日中でも25度で朝晩は長袖の上着が必要な異国にあっては、そのニュースはどこか他人事でもあった。そして、機内持ち込みの荷物をまとめ少しでも広い空間へと出たい気持ちがすっかりそれを忘れさせていた。しかして、宇宙船のような湾曲したドアから一歩出た瞬間、あっと思わず声を上げることになったのだった。歩きながら振り返れば、誰もが例外なく同じ場所で呻き声を上げている。それはちょっとおかしな空間だった。
羽田空港のビルの中は、もちろん十分涼しい。少なくとも税関を抜けるあたりまでは、少しばかり汗をかく程度でなんら問題はない。フレッシュな空気を吸うことはままならないが、飛行機を出た瞬間の少し笑ってしまうような暑さを思えばなんでもないことだった。それが、バスに乗ろうと外に出た瞬間に、これはとんでもない事なのではないかと急に心配になってきた。
バス停の誘導係は、乗客を正規の場所から少しでも影となる場所へと誘導し、その傍で重いスーツケースを順番に並べ、次々と来る問い合わせに答えながら、制服の袖で汗を拭うのだった。乗客を屋根の下に誘導しているから本人は直射日光を浴び続けている。よく見れば、汗をかいているには違いないが、袖はあまり濡れていない。思わず水分を補給した方が良いと言おうと思ったが、話に割り込むまもなくバスがやってきてしまった。まもなく誘導係の彼は、笑顔で乗客を送り出し、再び汗をぬぐって次の乗客に対応するのだった。
なんでも温暖化と結びつけるものでもない。全体としてはそうなのかもしれないが、だからと言って、この異常な暑さの原因の全てが温暖化によるものではない。地球規模の流体力学を解くのは容易ではないが、結局は大きな大気や海流の流れで説明されなければならない。その流体の揺らぎの中で、平均としての温暖化がある。だからすぐに異常気象とか温暖化とかを局所的な気象で語るべきではない。少なくともそう学んだつもりである。
そんなことを考えつつ、羽田の暑さにバス停の係員を心配しながら、ふとスロベニアの光景を思い出した。ヨーロッパでは当たり前の自転車専用道だが、彼の地にもそれはしっかりあった。専用の道を作るだけの幅が車道になければ歩道の一部を区切り、歩行者も自転車も違いに道を譲りあうマナーは、いったいどこから来るのか。誰もが自転車を重要な交通機関として理解しているようでもあった。そして言う。二酸化炭素出さないでしょ。オンラインで登録できるレンタルバイクも整備され、自転車がどこでも使える環境は、ちょっと羨ましい。しかも、短時間なら無料と言う。それだけではない。そのレンタルバイクの横にはEV用の充電ステーションが当たり前のようにある。まだまだEV車両は少ないが、あれならきっと普及するに違いない。便利なのだから。
ところで「熱帯夜」と言う表現にはずっと疑問がある。熱帯の夜ってホントにこんな暑さなのか?何しろ行ったことがない。
De drukte van vliegveld heel goed weergegeven
Dank je
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