
季節は感じるものである。そして、季節は探すものである。
朝まだ暗いうちに玄関のドアを開けた瞬間に足元を通り過ぎる深く沈んだ紺碧の冷気も、あわててシャツの前を両手で締めながら見上げる空のオリオンも、郵便受けから取り出したインクの匂いのしそうな新聞の乾いた音も、秋を感じるひとつひとつの儀式のようなもの。早朝のわずか5分に季節はやってくる。
午後の気怠い陽射しの中でかさかさと音を立てる山道を歩き、正解の分からない問いを探し続ける。何かが欲しいとわかっていながらそれが何かが分からない。午後のそぞろ歩きとはそんなもの。やがて赤くなった紅葉の葉を足元に見つけ、探していた秋を知り、忘れる。
秋は感じるものである。そして、秋は探すものである。
Autumn is what you are touched by and what you are looking for.
You may find your tiny autumn in cold air in a morning. You may feel your autumn just next to you after your long walking.
