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(Floral) Friday Fragments #247


 立冬だというのに夏と秋の花が混在している写真はどうかと思ったが、冬の感覚がまだ分からない横浜なのである。先日は立葵が咲いているのを見て、どこか切ない気持ちになったのは、案外仕方ない感覚なのだ。(と言い訳する)

 このところ、なんだかんだと病院に縁があって、病院が苦手な私には、それだけで病気になってしまいそうな日々が続いている。付き添いもあれば、自分のこともある。とはいえ、調子が悪くて検査に行ったことも何度かあるものの、幸いなことにその度に案外なんでもない。医師に大学病院を勧められて行ったこともあるが、気にすることはないと言われる。脂質が多いので食事を改善しましょうとか、もっと筋肉をつけたほうが良いですよとか、色々言われて落ち込んだりする方がよほど堪えるのだ。それでも、問題ないと言われる方が良いことには間違いない。そもそもインフルエンザやコロナのワクチンを打つことすら苦手なのだ。先日は、看護師さんに
「ああ、白衣恐怖症ですね」
なんて笑われた。
「はい、深呼吸して」
はいはい、わかってます。

 コロナのワクチンは、1回を除いてフランスで受けた。フランスは、集団接種場をショッピングモールやパブリック・ホールなどに設置したから、気楽に予約して買い物ついでに打つようなことができた。とはいえ、最初のワクチンは勝手も分からないから、気楽にはいかない。そもそも、フランス人だってよく分からないのだ。「政府の発表によれば、六十歳未満は最終グループだから予約はもっと先らしい」なんて、その程度の情報しかないからフランス人を頼っても、さっぱり埒が開かない。まして、フランス国籍を持たない移民なのだ。その上、病院が苦手ときた。

 フランス人に手伝ってもらって、ようやく予約ができたのは、そうした特殊な事情の人のための公共施設だった。その予約をしてまもなく普通にフランス人同様に一般会場でできますよと連絡もあったのだが、もう予約はできていたからそのまま公共施設でのワクチン接種となった。しかし、これが大きな過ちだとすぐに悟ることになる。

 そもそも一般会場の方が早いというのもあるが、その特別な会場は、アストラゼネカのワクチンだったのだ。1回目の副反応は強いと聞いていたし、他に比べ血栓などの危険性も多少あるとも聞いていた。それでもそれがどういうことかは理解していたわけでもない。「フランス語の得意でないジャポネは副反応が出た時に対応が難しいだろうから、しっかり管理できるこの会場の方が良いだろう」そんな理由で決まったアストラゼネカだった。

 そして接種した4時間後のことである。高熱を発し、うんうん唸って呼吸もままならない強い副反応が始まった。ようやく38度まで下がったのが24時間後。罹患したのと変わらないと皆に馬鹿にされる始末である。聞いたところ、ほぼ同時期に接種したひとのほとんどは多少熱が出ただけだったという。やれやれ、だから苦手なんだって。

 さて、その後、2回目も同一ワクチンとのガイドラインがあったから、再びアストラゼネカだったのだが、さすがに2回目は38度程度で治まった。その後、3回目と4回目はモデルナ、5回目はファイザーと、なかなかの混合ぶりである。そんな話をすると、皆が言う。
「病院とか苦手じゃないんだねえ」
と。いや、そうじゃない。苦手だから慌てふためいて、かえって大変なことになる。

 やれやれ。そろそろ冷静にならないと、歳をとって大変なことになりそうだ。

4 thoughts on “(Floral) Friday Fragments #247”

  1. ふふふ。tagnoueさんが白衣恐怖症だなんて、意外です!

    病院というところは、確かに、何かを持っていかれるような感覚になりますね。こちらの家庭医のいるクリニックは、子どもたちも同じ部屋を利用するので、ペンキの色が明るく天井にダチョウの写真が貼ってあったり、モビールが吊るしてあったりして楽しいのですが、無機質な「病院」というところは私も苦手です。

    アストラゼネカの副反応は厳しかったようですよ!同僚の間でも、どうしても早くワクチン接種したくて「コストコ」で受けたひとたちは、みんなアストラゼネカで高熱を出してましたー。

    できるなら病院には世話にならずにいきたいですよね!

    1. 分かっちゃいるのですが、面と向かって「白衣恐怖症」とか言われると堪えます。白衣という漢字を入力したら候補に「天使」が出るんです。酷いギャップです。
      でも、そんな事を考えてると病院に吸い寄せられます。X線とか超音波の画像が苦手なのに…
      行かないのが一番です。
      ネタになりそう。

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