
今年は自宅の周囲の蔓をこまめに切ってしまったため、いつも咲くヒルガオをほとんど見ていない。近くの公園も、空き地もきちんと刈り込まれ、ヒルガオの色すら忘れてしまうほどだ。
アサガオに似ているから種子ができて繁殖するのかと思いきや、繁殖はもっぱら地下茎だそうである。秋に枯れても地下茎は残り、翌年の春には蔓を伸ばす。双葉なんて時間がもったいないから、まずは蔓を伸ばす。他の雑草より早く伸びて上を目指し、たっぷりと得たエネルギーで地下茎を伸ばす。だからクズと同様に駆除が難しい雑草でもある。今年は早めに除草することでヒルガオを減らすことに成功したという事だろう。
でも、ヒルガオ好きは全く心配する必要はない。また来年にはしつこく生えてくる。そうして5月の終わりには花を咲かせ、ひと夏咲いてまた枯れる。
先日、クズとヒルガオが広がる空き地の横の狭い路地を通ったら、余程手を焼いているのか、足で蔓を踏みつけてひとつひとつ成長を止めようと戦っている男性がいた。気持ちもわからないではない。クズは1週間もあれば1メートル伸びる。ちょっと気を許すと一帯がクズだらけである。ヒルガオはそこまで成長しないが、フェンスがツルでいっぱいになり秋の掃除で手間がかかる。男性は、それはもう鬼の形相で、踏みつける姿は気迫に満ちていた。
ただ、何も言わずにおいたが、正直無為な行為ではある。冬前には枯れて茶色くなった枯れ葉を捨て、ようやく落ち着いたと思ったらまた春には元に戻ってしまう。無限に山の上に巨石を持ち上げるシーシュポスのように、同じことを繰り返すのが季節というものだ。やがて根負けするのが人の営みの一部なのだろう。