Cross Cultural, Photo

Floral Friday #172


 最近若くないなと思う瞬間のひとつが、美しい花を見て写真を撮る自分に気づいた時だ。普段からある意味工夫も何もない花の写真をただ綺麗だなと思って撮っているわけで、その度に若くないなと思うわけではない。それどころか、インスタだろうがXだろうが、花好きの人がちょっとしたテクニックを駆使して驚くほど美しい花の写真をアップしているのを見れば、そこに年齢など関係ないことがよくわかる。花の写真が年寄りの趣味だなんて、誰が言ったのか。
 若くないなと思うのは、ふと「何故この変わり映えしない写真をまたも撮っているのだ?他に撮りたいものなどいくらでもあるだろうに。」と考える自分に気づいた時である。血気盛んな若者だった頃は、知人が貸したカメラに勝手に残したペンキの空き缶とドライバーだけの写真に嫉妬したではないか?雪上車の黒々とした巨大なタイヤをこれでもかとデフォルメした写真を撮って自己満足したのは誰なのだ?風に揺れる野花の中にカメラを沈めてニヤニヤしながらその瞬間を待っていたではないか?
 どうでも良い話ではある。空き缶の写真は今だって撮っているようなものだ。先日はシロアリに穴だらけにされた放置木材の写真を熱心に撮ろうとしていたし、ある程度写真の撮り方のお作法みたいなものが分かってきた今は、むしろ50mmくらいの標準レンズでどうやったら大きさをデフォルメできるかなんて考えたりもする。
 だから若くないなと思う瞬間は、「だって綺麗なんだから写真に撮りたいだろ?」と言い訳する瞬間なのである。若者は言い訳しないものだ。少なくとも、そういうことになっている。現実はそうじゃないけどね。
 
 

2 thoughts on “Floral Friday #172”

  1. なんだかわかり過ぎて笑ってしまいました!
    若い頃に空き缶やタイヤを撮ったりディフォルメに夢中になることはなかったけれど、最近「ついこの間もこういうの撮ったよな。。。だってきれいなんだもんっ」ってつぶやいてること増えましたっ。笑

    1. お仲間ですね。
      (仲間にするなという声が聞こえてきそうです)
      若い頃だって花はきれいだって思ってましたが、たくさん写真に撮りはしなかった。今は記憶に残したいのでしょうか。言い訳しなくたって良いのに、不思議です。

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