
湿気が溶けこんだシャツの重みに
上がらなくなった両肩と
白く凍った空に吸い込まれていく
ヒリヒリ痛む首筋とを
忘れようと歩き出す昨日
ギッタン カンゲン
クゲン ムゲン
ラッカン キッタン
ギーチョン グン
青野原に潜むスニーカー
蒸せかえる沈黙
耐えきれず鳴くキリギリス
蚊をつぶす手が誘う静寂
シンシン カンシン
シカン オカン
クウカン ゴッカン
シータン ズン
白い息に痺れ始めたスニーカー
諫言を重ねたメッセージ
不意に広がる空から落ちる六花
音の染み込んだ土色の死骸
無限 諫言 歓楽 苦言
思い出すには単純過ぎる昨日
このBlogには習作でも掲載してきたが、今回もネコトコトリのシリーズの新しい試みである。単なる言葉の遊びと思われるかもしれないが、毎回何かしら試していることがあって、今回は感じ二文字の熟語とリズムの組み合わせをテストしている。
もし、夏と冬とが同居したシーンと快楽と苦行が淡々と同居する日常とが混じり合った記憶のようなものとを感じ取っていただけたら、この詩は成功したと思っているのだが、どうだろうか。