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赤茶色の声

赤茶色になりかけた昨日と
白く煙った今日がすれ違う朝、
誰もいない黙りこくったベンチを遠く眺め、
湿ったズボンのポケットを確かめる。
濁った底などすっかり忘れて重みを増した水面は、
どこまでも落ち込んでいく重力の果てと
ふらふらと漂う期待とを鏡のように分け隔て、
歩き出す右足にまとわりつく。
辿り着けないベンチのさらに向こうに
赤茶色の鳥の声を探す。