Bonne journée, Cross Cultural

Galapagosizationized

201707-211

テクノロジー関連のウェブ記事を読んでいると時々意味不明な単語に出くわす。その記事に書かれた技術をそもそも知らないという事ではない。まぁ、よく知らないという場合もないではないが、わざわざ読もうというくらいだから普通はある程度の予備知識があって読んでいる。不明な単語というのは分からないというより直感できない単語という意味である。ある種、中学生の間でだけ流行っている妙な表現を初めて聞いたような違和感とでも言おうか、響きはわかるのに語源が想像つかないというのに似ていなくもない。あるいは、先日の朝日新聞の書評にもあったが、ハナモゲラ語でも良い。ただひとつ違うのは、立派に元の意味があるという事である。
そのような典型例が(個人的にではあるが)「ガラホ」である。この単語、実はどこにも元の言葉の原型がない。元の意味は想像通り「ガラパゴス化した携帯電話」と「スマートフォン」からきている。
まずは携帯電話がケータイとカタカナになり、次にガラパゴスと一緒になってガラパゴス・ケータイと呼ばれ、短縮されてガラケーという単語が完成する。この時点でケーくらいしか原型が残っていないと思うが、業界ではフィーチャー・フォンと呼んでいるから実は全く違う単語になっている。一方、スマートフォンはいつかスマホと呼ばれフォはいつしか完全にホに変容する。だからガラケー+スマホでガラホである。もはやどこにも原型はない。日本語おそるべし。
ところがである、今、「ガラホ」という単語はガラパゴスケータイのスマホという意味では使われていない。スマートフォンのOSや部品を使って作られたフィーチャー・フォンという意味である。つまりスマホの技術で作られたガラケーなのである。あぁ、ややこしい。言葉の原型はおろか意味合いすらもずれているではないか。

追記:
ややこしいといえば時に外来語も同じである。あえて色々例を挙げるまでもない。先日は、スケートの記事を読んでいて「フィギュア撮影」で引っかかった。ニュースでも案外スケートに関する記事は多くなく、スケートファンとして画期的な記事だと思ったのだが、実際は模型のフィギュアの話だった。並べて書いて欲しくないものである。模型のフィギュアはModel figure、フィギュアスケートはFigure skating。言葉はいつも難しい。

追記2:
タイトルのGalapagosizationizedという単語はもちろんない。Googleしても何も出てこない。ガラパゴス化という意味であれば、前後でその意味を説明しさえすればGalapagosizationという単語はなんとか通じそうである。だが今回の意味はガラパゴス化ではなく、もはやガラパゴス化されていた過去の生態系を別な島に移したことで一時的な新たな生態系が派生したくらいの意味である。言葉はいつでも新しい。

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