お盆の混雑する東北道、混雑する蓮田SAを避けて羽生PAに立ち寄ったところ、大き目のごく普通のパーキングエリアだった羽生は、タイムスリップでもしたような江戸の様相にすっかり変わっていた。「鬼平江戸処」と言うらしい。火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長谷川平蔵(通称鬼の平蔵)を描いた池波正太郎の「鬼平犯科帳」をモチーフにしたということだろう。何故羽生なのかは分からないが、少なくともそこは鬼平が闊歩する日本橋である。裏手には芝居小屋(中に入れるわけではない)もあり、自動販売機ですら目立たないように風景に溶け込んでいる。
柳の向こうに見える日本橋の大通りを賑やかに歩くのは、もちろん江戸の町人ではなく、東北道を走りつかれた人々がしばしの休憩を取っているのだが、不思議と混雑している様相はパーキングエリアのそれとは違って、江戸の活気あふれる人混みのようでもある。風に揺れる柳の小枝の反対側は、日本橋川でも神田川でもなく車の流れであるが、写真で切り取れば、そんなことも気にならない。
池波正太郎ファンなら、恐らくは相当楽しい風景なのだろう。小説やドラマに出てくるであろう大店(おおだな)のひとつひとつを見てそれが何か分かるほどの知識がないのが残念だが、知らずとも想像するだけでよい。そもそも多くの人がスマートフォンやカメラで写真を撮っている様子からして、鬼平が何者かすら知らずとも楽しめそうだということだ。なんとなく一休みと思って立ち寄ったら何やら江戸の風景が広がっていて、日光江戸村か映画のセットのような気分で歩いてみたら結構楽しいといったところではないか。
もちろん、セットは張りぼてではない。建物の中もしっかりとそれらしく作られている。お土産屋さんはもちろん普通の現代のお土産屋さんであって、江戸の店先とは異なるのだが、その雰囲気はしっかりと違和感の少ない形になっている。
もし東北道の上りを走る機会があったら、話のネタに一度立ち寄ってみてはどうだろうか。最近は、SAやPAがリニューアルしてなかなか楽しい場所になってきた。体を休めるだけでなく、気分もリフレッシュできるならそれが一番良い。一般的なお盆休みが終わったころになっての情報で役に立たないかもしれないが、秋の行楽シーズンにでもチャンスがあれば立ち寄っても面白いかもしれない。
良い一日を。


