Cross Cultural

pommes


 Webサイトで「りんごが赤くなると医者が青くなる」なんて書いてあるのを時々見かける。なんとなく、日頃からよく見かけているから自分でも使ってしまうが、元の諺は「柿が赤くなると医者が青くなる」である。恐らくは、「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」のような格言と混じり合ったものだろう。そのくらいりんごは身近なものであって、食べやすく、健康にも良いに違いない。待ち遠しかったりんごがスーパーに並び始める9月頃から12月くらいまで、ずっとりんごを食べ続けているような気がする。
 冒頭の写真はフランスのスーパーで売っていたお得用フランス産りんごなのだが、3kgあたり2.49€(約400円)という格安である。フランスは、概してりんごが安い。1€=120円だった頃なら、日本の半額以下どころか1/3くらいの値段でりんごが買えた。安かろう悪かろうという想像は半分あたっていて、フランスに大玉の綺麗なりんごはほとんどない。どこかしら傷があるのは普通だし、計り売りが普通だから、みなさん真剣な顔つきで美味しそうなものを選んでいる。収穫も大胆で、木の根元を機械でゆすって根元に敷いたネットの上に落とすなんて豪快なやり方をしていたりもする。果物は、生食よりは加工することが多い国だから成り立っているのだろう。
 地産地消が結構徹底しているフランスだから輸送費もかかっていないのかもしれない。一方で、季節もよくわからない南国のフルーツがスーパーにたくさん並んでいることもある。
(下に続く)


 こちらの写真は12月に撮ったものだが、どう考えてもパイナップルやドラゴンフルーツの季節ではない。ただ、フランスには海外県なるものがあって、旧植民地をカリブ海や南太平洋に持っている。これらの地域は独立運動があったりはするものの、産業も少なく、政府が補助をして観光やこうしたフルーツの栽培を進めている。またフランス領ではなくても、アフリカの一部の国は旧植民地の関係もあったりして、フランス語を話す友好国であり、フランスに盛んに農作物を輸出している。モロッコ産のスイカやみかんはなかなか美味しい。

 最後のおまけ写真は、ブームの寿司の弁当である。これに手を出してはならない。いや、好奇心から食べてみるのは否定しないが、決して美味しいものとは思わない。特に巻き寿司は、どうしてそうなった?という疑問符がつくものが多い。七味唐辛子で巻かれた寿司など、とても美味しいとは言えない。加えて、握り寿司は衛生的にも疑問符がつく。そもそもキッチンが生の調理用にはできていない。個人的には元々生寿司を食べないのだが、日本らしい寿司だったのであえて食べてみたら、その日の夕方には腹痛である。どうしてフランス人は大丈夫なのか、どうしてもわからない。まあ、何れにせよ、食べて美味しいものではないというのが印象である。フランス人が日本に来てフレンチを食べないのと同じことだ。居酒屋のキンキンに冷えた赤ワインって何?って感じである。


さらなるおまけ

2 thoughts on “pommes”

  1. フランスの果物事情、面白いですね。
    日本に来たフランスの菓子職人達が口を揃えて日本のフルーツを褒めるのは、昔から「水菓子」という食文化があることによる、「生食する果実」の栽培方法による所も大きいのだろうなぁと思います。
    品種一覧の中にふじりんごがありますね。
    ググってみたら、やはり日本のふじのようです。ふじは世界でたくさん栽培されているともあり、ちょっとほっこりしました(^-^)

    1. KYOさん、こんにちは。
フランスの果物は、日本基準でみたらリンゴに限らず案外美味しくありません。あまり生食をしないのです。手間をかけて摘果して丁寧に育てるなんてことはしないので、たくさん成っていますが小粒で酸っぱいというのが平均的なイメージかもしれません。多分、それで良いのです。果物でも煮込んだり時に焼いたりと調理して食べるので、素材の瑞々しさを味わうという感覚が薄い(あるいは知らない)のだろうと思います。日本の丁寧に育てられたリンゴを生で食べたら間違いなく美味しく感じるはずです。
      このリンゴの表、実は曲者で、ふじを見かけたことがありません。きっとパリなどの大都市ならあるのでしょう。日本風の大根も里芋も、売っているはずなのですが見かけません。最近、椎茸が買いやすくなりましたが、それでもいつも買えるようなものではありません。しかも、たまたま見つけて買っても日本で買うほど美味しくありません。丁寧に育てた野菜や果物という点では、日本の食材は美味しいといつも思います。

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