
10月も半ばを過ぎた頃になると長い冬を予感させる霧雨に肩を濡らすことが多くなる。雨の降らない日などあったのだろうかと、決して大袈裟な訳ではなく、当たり前のように雨を受け容れる。たとえ優しいパステルブルーの空がすっかり葉の落ちた木々の向こうに広がろうと、きっと午後には雨に濡れるものだと誰もがコートを手放さず、スレートの庇の陰から射す日差しを見なかったかのように、まもなく降り始めるはずだと預言者のように襟を立て、焼きたてのバゲットがあまり濡れないうちに家に向かう。11月からの冷たく湿った4ヶ月。
ウサギもリスもそろそろ森から消える頃、諸聖人の日を境に慌ただしくなるクリスマスの準備も、今年は少し違う。
例年になく光溢れる4月の暖かな空気とはうらはらにすっかり沈黙を続けた街の活気を取り戻そうと、トラックに満載した流れ星や渦巻のクリスマスイルミネーションを、ハロウィンなどアメリカの話とばかりに忙しそうに飾り付けてきた秋は、急に終わりを告げた。ショーウィンドウを眺める人も少なく、街は再び沈黙しつつある。
森は秋から冬にかけて頻度を増す雨に重く湿り、窪地には沼が現れ、新たな沼と沼との間には新たな川が音を立て始めたはずである。残念ながらその森を歩くことはしばらく許されない。湿った森のキノコの写真でも眺めながら、別な光を放つ森を想像するしかない。
今日からしばらく、毎週金曜日には、湿った森の生命を思い出させてくれるキノコの写真をポストしようと思っている。森に行くことはできないのである。
For a while, I intend on posting a picture of fungis in a swampy forest in Brittany at least one day a week since France has been back to lockdown and I couldn’t walk in a forest but imagine.
