Bonne journée

Cross-cultural (2)

そう言えば、先日の話題はずっと身近な課題であった。というところまでが前回の話だが、何かと言えば制限速度のことである。

郊外の一般道の速度制限が時速90kmから80kmになって、郊外に住む者の権利はどうなる!って議論の基準がおかしいだろうと思うのは東京近郊に長く住んできたから?

ニュース報道と知人の議論を聴きながらふーんと面白がっていたが、そもそも郊外の道の制限速度が90-110-130と分けられている事に疑問を持たないのも変だと気がついた。ドイツはやりすぎだけど、フランスは日本と違って速くていいなという程度に思っていたが、フランス人の知人は事故率や死亡者数の数字を見ながら、どうやって効率と安全を両立するか真剣に議論しているのだった。
たしかにすれ違うのがギリギリの狭い田舎道も90km/hである。ぶつかればタダではすまない。でも、たいして人の住んでいない隣の集落まで10kmあって、その間誰ともすれ違わなかったら制限する理由はない。難しいところである。

小さな街でもやっぱり夕方は道が混むよね。5時過ぎるとどうしても渋滞は避けらないかな。と会話していたが、7時過ぎたら道はガラガラ。

絶対数は少ないのだ。

穏やかな光溢れる昼下がり、ほおを伝う風は心なしか冷たくも軽やかに舞い、野原には様々な花が咲き乱れる春。伸びをしながら息を深く吸い込めば、豊かな牛の香り。うーん、ブルターニュ。

ブルターニュが基準とは言わない。田舎道を牛が横切ることはあるが、ちゃんと案内がある。どこでも牛が横切るわけではない。ちょっとだけ田舎だから、時速90kmに問題はないと考える人が少なからずいるだけだ。結果として、死亡者数は決して低くない。
田舎である事が理由かどうかわからないが、ここでは横断歩道に歩行者がいれば、車は止まる。100%止まるわけではないが、少なくとも2台に1台は止まって、歩行者の横断を待つ。

路線バスが手を振りながら走って来る乗客を待つのは見たことがあったが、反対側を追いかけて来る客のために止まって横断をサポートした上、バス停で待ってあげたのは初めて見た。それだけ田舎ではある。

田舎と言ってもパリと比較しての話であって、日本の地方都市くらいの人口はある。バスも縦横無尽に走っているし、さすがに都市部には牛は歩いていない。でも、バスは庶民の足であるし、多少の融通はきかせるのだろう。もちろん、運行はゆるい。時刻表などあってないようなものだ。時刻通りとは10分程度のずれの範囲を意味している。東京もそんな感じだから、さして違いはないが、ほとんど車の走っていない早朝であっても時間のずれは普通にある。

いつものバスが来ない。多少の遅れは普通だから気にはしなかったが、朝の通勤が始まる少し前だから混雑を覚悟。でもなぜか10分遅れのバスなのに人は少ないし、前の席では巻きタバコの製作に忙しいお父さん。

正直言って良く分からない。知人に聞けば、フランスとはそのような国であると、分かったような分からないような妙な答えが返ってくる。深く探求しないほうが良いだろう。その昔、シアトルで運転手の痴話喧嘩の煽りを食って飛行機に乗り遅れたのとはわけが違う。

ターミナルのドアからセキュリティチェックまで10m、飛行機までさらに20mの空港では、1時間の待ちはとんでもなく長い。長距離バスのバス停で1時間待つのと同じだと悟った。

田舎のメリットはこういう時に発揮される。無意味な時間を過ごさずにすむ。だが、これが案外活用できないものである。飛行機に乗る時は2時間前までに着くように行くべきだなんて刷り込まれているから、どうしても早く行き過ぎて待つ事になる。もちろん早すぎるくらいの方がずっと安心ではある。問題は、やる事がないという事だ。しかも長距離バスと違って空港の周囲にも何もない。飛行機にはどうしても長く面積の食う滑走路が必要なのである。田舎だからと言って、滑走路は省略できない。しかして、店の1件しかない空港でやる事なくゆっくりと時間を待つのである。せめて食べるものがほしいが、小さな空港ではクッキーかクロワッサン以外にあまり選択肢はない。

今日はちょっとした記念日なので社員食堂のようなところでデザートを取ることにした。あらためて眺めたら、ムースなどを含むケーキの類だけで4種類、フルーツやヨーグルトを合わせれば10種類くらいあった。

空港には何もなくても、何もなさそうなレストランでデザートが充実しているのもフランスである。ダイエットでもしていないかぎり、皆がデザートをとっている。デザートをとらないとどうしたのと聞かれる始末だ。いや、こっちの食事は多すぎるし油も多いからデザートはやめてるなんて言い訳しなければならない。「さすがだなぁ。フランスは野菜も少ないし良くないよね。」と、ひとしきり健康的な食事の話で盛り上がる。基準がどこかずれていなくもない。

複数の会社が運営を委託する社員食堂みたいなところに行ったら、お昼ごはんに強烈なラム酒のデザート。そうか金曜日だしねと思ったけど、午後は仕事しないのかな。しかもみんな車で帰るんだよね。

売れたのかどうかは分からない。カクテルグラスが涼しげに並ぶデザートコーナーには、確かに本日のスペシャルとは書いてあったが、フランスとは言え、最近は運転前のアルコールの制限は当たり前になりつつある。増してレストランは一般向けではなく、会社員向けの会員制である。文化の違いとはそんなものなのだろう。

窓を開け放ち、夕方の心地よい風を部屋に通す。遠くからの教会の鐘と春めいた空気を感じながら、久しく飲んでいない緑茶をグラスに注ぎ、ゆったりと椅子にもたれかかる。 だから緑茶に蜂蜜入れるのはやめろ!

そう思うのは、どこかで日本の文化的背景の元に物事を見ているからである。緑茶に蜂蜜を入れてはいけないというルールはない。仕事中にラム酒がいけないわけではない。車で帰る事だってある。なんてことは思わないが。

フランスでは車の値段に比例して運転が下品になるような気がする。ひょっとして社用車だから?

かくしてラム酒のたっぷり入ったデザートをいただいたサラリーマンが酔っ払って運転している、というわけではない。少々高級なドイツ車に乗っているということは、会社から支給された社用車を使う管理職である可能性も高い。名義は会社である。罰金の請求は会社に来る。それが自制作用となって働くか、自分じゃないから大丈夫といういい加減さとなって現れるかは、その人の文化的背景にもよる。会社に速度違反の通知が来そうだからというのが理由でゆっくり走るような国ではないだろう。速度超過には事故のリスクはあっても現に事故は起こしてはいないではないか、そう考えても不思議ではない。とはいえ、アルコールだけはどうやら厳しくなってきたらしい。少しばかり日本より基準はゆるいらしいが、酒気帯び運転は厳禁である。

フランスはまだタバコを吸う人も多く、歩きタバコも珍しくないが、歩き水タバコは初めて見た。邪魔じゃないのか?

フランスは、タバコの制限も比較的早かったが、いつの間にかタバコについては日本の方が厳しくなったような気もしている。案外歩きタバコの人は多い。しかも火のついたタバコを街中で振り回す。誰かにぶつかって初めて危ないことをしていたと気がつくのもよくあることである。水タバコも度々見かける国だから、タバコについては多少大らかなのだろう。もちろん健康については多少うるさいが、まだまだ生活の中にタバコはある。(値段は相当高いらしい)

霧の朝は全てを覆い隠してくれる。タバコの吸い殻も、昨夜の馬鹿騒ぎのあとも、犬の散歩の結果も。

結果として、歩道には吸い殻が散乱している。朝霧のまだ暗い時間帯は美しく輝く石畳も、霧が晴れて日差しが石畳を乾かし始める頃にはタバコの吸い殻や割れた瓶のかけらで薄汚れて見えてくる。大抵そうなる直前には道路清掃車が綺麗さっぱり汚れを取って行ってくれるのだが、時にどうして自分たちの住む場所を汚すのだろうと考えなくもない。ごちゃごちゃとした看板もなく花が飾られた美しい街並みは、足元に視線を下せば案外薄汚れているものである。少し遠い目線で見ているのが一番美しい。

ウェブで見たヴィアンデン城(ルクセンブルク)が「いいなぁ」と遠い世界のように思って何となくGoogleしたら車で7時間。地続きとはそういう事なんだなと。

なんだかんだ言ってもヨーロッパは巨大な大陸の一部である。地中海文明もモンゴルの侵攻も皆含めてヨーロッパをなしている。フランスと一括りにするのも憚られるのに、その巨大な大地の少し向こうにある他の国まで一括りにすることなどできない。それでもルクセンブルクはフランスの西のはずれからでも車で行ける場所にある。「フランスは」などという一括りの見方は恥ずかしいほどにミクロであり、同時にマクロすぎる味方である。結局は自分がどう感じ、どう学ぶかなのである。

2 thoughts on “Cross-cultural (2)”

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