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A Book: The Zen of Steve Jobs

boks-steveApple IIeは憧れで終わり、Macintosh plusが最初だった。SEを歴てMac IIfxあたりまでは、運が良かったのか、スポーツカーでも操っているかのようなプロの道具を使う満足感を味わうことがかなったが、Powerbookは再び憧れとなった。久しぶりに手にしたiMacからは、iPodやiPhoneとコンシューマ向けの製品を再び使い続けている。
そうやって、ひとつの会社の歴史を個人が語れる時、なにかしらその文化のいうなものがあるのだろうと考える。

先日、机の中を整理していたら、知人からもらった NeXT のロゴの入ったカードが出てきた。そんな具合だから、もともとスティーブ・ジョブスの生み出す製品が好きなのだろうと言われれば、その通りなのかも知れない。一方で、その文化のようなものに親近感を感じるからこそ、たまたまMacを使ってきたのであって、ジョブスとは直接関係しないのかも知れないとも思う。

ジョブスが亡くなって、多数の本が出版されたり再び話題になったりしたが、本当のところ、その理由はよく分からない。iPhoneは今も販売数トップの座にあるだろうが、Macとなると、シェアは大きいとは言えない。Appleの製品ラインナップは、一般的な世界企業と比較すれば多くはないし、それでも世界最高レベルの価値を持つ企業の経営方針を知りたい人が多いとも思えない。恐らくは、そんな会社を作り、成長させ、壊し、追われ、再び戻り、世界一にしたその人自身に魅力があるのだろう。

一般の人がジョブスのスピーチを愉しみにしていたとも思えないが、そのシンプルでどこかにストーリーがありそうなプレゼンに惹かれるというのもあるかも知れない。もちろん、バラク・オバマもそうであるように、ジョブスのプレゼンにはシナリオライターがいたことは、Appleに詳しい人であれば、衆知である。だが、ジョブスが描かれたシナリオをそのまま受け入れたなどとは想像できないし、そのような部分があったとしても、少なくとも、それを自分で納得しなければ使わなかっただろう。そうでなければ、あれほどまでにシンプルには語れなかったに違いない。
要は、生前から伝説であるかのように言われた人物に、人それぞれの興味があって、その人の背景となるもの、根底を流れるものを覗き込んで見たいということなのだろう。

ジョブスと禅との関わりがどれほど重要なのかは知らないが、禅が根底に流れる考え方のひとつではあっただろう。本書を覆う静かなトーンも、そのエピソードを思索の中に溶け込ませる役割を果たす。そのうち、円環をめぐるいくつかのストーリーも座禅を組む姿も、それが事実であるかどうかは重要ではなくなる。事実は彼方に追いやられ、そのトーンだけが通奏低音のように重みを増す。

結局、ジョブスに関しては、事実がどうであったかなど、取るに足らないことなのかも知れない。それが、文化であるならば、そこまで大袈裟な言葉を使いたくなければ、あるいはライフスタイルであるならば、事実を並べ分析した本は、まだ先でいい。

コミック嫌いがあっという間に読み終えたのには、何かわけがある。
和訳も出版されている。オリジナルがよければ英語も平易である。

最近読んだ本

The Zen of Steve Jobs
Caleb Melby, Forbes LLC, JESS3 著

予告された殺人の記録 (新潮文庫)
G.ガルシア=マルケス(Gabriel Garc’ia M’arquez) 著, 野谷 文昭 訳

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