

ある晴れたその日、その建物はかつて栄えたビーチリゾートにあって捨てられたようにも見えた。

いつものように静かな午前中のひと時、そぞろ歩きする誰かが静かに進めるチェスのように見えた。

鉄の造形が時を語る。

近代的なビルと歴史の影に何を思う。

切り取られたファインダ映像はまるで国旗のようだった。

その手摺は今日を美しい過去と輝かしい明日に隔てる。

物憂げな午後の光が曖昧さを作り出す

その湊の裏側は仕事場でもある。

その街は過去の時間が今と行きあうミネストローネ。

街の喧騒から離れて自分の時間がそのエネルギーとつながっていることに気付く。

その公園はいつも都会の地平線の一部である。それが人生の一部でありさえすれば。

旅への思いもまた街の一部である。

街の色は青。その理由を誰も知らない。

その港は日々の生活から放浪心を切り分ける。

春の記憶はいつまでも続くが秋にはひと休みするもの。

横浜の明日には苦しくも喜びあふれる過ぎた時間が積み重なっている。