Bonne journée, Cross Cultural

South Korea

201802-112

ユニクロの明るくカラフルな店舗の前を重い荷物を背負ってゆっくりと進みながら、ふと今日は暖かいなと思い返した。視線の先を横切る涼しげな顔立ちのカップルは、モノトーンの上下にコートの前を開け、何かを笑顔で話しながら颯爽と立ち去った。ショッピングモールの入口近くにある黒を基調にブラスで飾ったパン屋あたりで、きっとお洒落なサンドイッチでも買うのだろうと勝手な想像を膨らませ、背中の重さから解放してくれる近くのベンチを探す。目隠しを兼ねた植込みの向こうに見つけたステンレスのそれは、すぐに腰の曲がった女性のものとなった。レストラン街でもあればそこで休憩しようと辺りを見渡した。見わたせばいつもと変わらない風景がそこにあった。ただひとつ違うのは、書かれた文字が何ひとつ読めないことだけだった。行き先を示す案内板には、ハングル文字が書かれていた。

空港のエスカレーターは韓国語に続いて中国語と日本語が安全を喚起し、案内板にはカタカナが併記されていたが、ひとたび空港を離れれば右も左もハングルだった。表音文字なのだからしっかり勉強してくればよかったと少しだけ後悔し、すぐに読めても意味がないことに気がついた。右の矢印と左の矢印から、左右に行くと何かがあるのだとはわかっても、そこに書かれたハングルの音からはそれが何か分からない。全てが文字化けしたような、そんな気分を味わうこととなった。風景は見慣れているのに、文字だけが分からないのだった。よほどフランスのほうが楽だった。分からなくても英語と似た単語であれば、それなりに意味は想像できる。しかし、ハングルには何ひとつ想像できる要素がなかった。だから自分の頭がおかしくなったと思う方がかえって自然に思われた。見慣れた日本の風景なのに、ただ文字だけが読めなくなったのだ。あえてひとつだけ違うとすれば、ユニクロがひとけた値段の高い高級品に見えたことだけだ。29,000-のブラウスは、やけにオシャレに輝いていた。もちろん単位はウォンである。

201802-111

2 thoughts on “South Korea”

  1. 似たような(多分)感覚を覚えたことがあります。こちらにある韓国の美容室に行ったときのことです。壁に描かれているハングル語を除けば、まるで日本の美容院にいるような風景。でも美容師さんと私は英語、もしくはドイツ語で話すという、まさに夢の中でアリスの御伽話の世界に迷い込んだような感覚でした。

    1. どこか共通のバックグラウンドを持っているのですね。だからこそ、ことさら文字の違いを意識してしまうのでしょう。私もとてもいい経験になりました。

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